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172 王竜の試練

フレイムゴーレムの討伐が終わり、夜遅くに馬車へと帰って来たが、皆まだ起きていた。


「ただいま、今帰ったよ」


「お帰りなさい、翔様」


「お帰り、翔くん」


「皆、まだ起きていたの」


「はい、翔様の事が気になりましたので、アナンタは子供ですからもう寝てますけどね」


「翔くん、お疲れ様、コーヒー作ってみたけど飲んでみる」


「空、このコーヒーどうしたの」


「この世界に有るもので合成してみたの」


「翔様、コーヒーという物とても美味しいですよ」


「神楽さんと茜さんも、如何ですか」


「空殿、頂くなり」


「私も頂くわ」


この世界にコーヒーという物はないようで、苦くなく飲みやすかったので、皆コーヒーの虜となっていた。


「そういえば、翔くん、私達戦いに参加してないのに経験値がかなり入ってきたの」


「沙羅、それは本当か、それが本当ならファミリーになっていれば距離が離れていても経験値が入るということになる」


「それは翔殿だからだと思うなり。

普通は、見えない距離まで離れると効力を失うはず、フレイムゴーレムを戦った所から馬車まで約5キロくらいなりか、

どこまでファミリーとして経験値が入るか、分からないが5キロまで離れても大丈夫ということなり」


「はい、それなら皆には安全な所にいてもらって、戦える者だけで魔物を倒しまくるという手もあるね」


「翔くん、また私達を置いていくつもり」


「沙羅、例えばだよ」


「翔様、次はついていきますよ」


「翔、俺も忘れるなよ」


「分かってるよ、ミディア、ラウド」


「今日は疲れたなり」


「そうですね、もう真夜中過ぎてますね」


「そろそろ皆寝ますか」


「そうですね、翔くん」


馬車の二階へと移動して、皆で横一列になり眠支度をしている。

僕は深夜にフレイムゴーレムと戦ったこともあり、横になると直ぐに深い眠りにつく。

次に目が覚めたのは、朝方、大きな音に驚き飛び起きていた。


『ヴォーー』


最初地響きがしていたので、地震か噴火かと思っていたが、皆も気付いて起きているようだ。

馬車の外に飛び出し、回りを確認すると村人達も兵士達も何やら慌てているのが直ぐに分かった。


何がおきたのか、近くの兵士に聞いたところ、先ほどの地響きのような音は竜の咆哮だったようで、竜が襲って来るかも知れないということで、

村人や兵士達は朝から畑仕事や見回りに出たところだったが、慌てて村の中に引き返している途中だった。


「竜が襲って来るかも知れないって僕らも逃げないと」


「翔殿、下手に動くよりとどまっていた方が安全なり」


「それならとりあえず馬車の中に避難しよう」


馬車の中に入り、辺りを確認したり、マップを確認したりするが、竜が襲って来る気配がなかった。


回りの様子を伺いながら、朝食を取っていると二回目の竜の咆哮、


「グォーーン」


辺り一帯、大気の振動が激しく震え、馬車自体も地震かと思えるくらい激しく揺れていた。


「翔くん、怖いわ」


「翔様」


「ご主人様」


「僕に頼られても、僕も怖いんだけど」


一度拠点に来た王竜の大きさ、そしてあの灼熱、こちらの攻撃など一切効かず一方的な戦い、もう関わりたくないというのが心情だった。


「ご主人様」


「どうしたの、アナンタ」


「あのね、お母さんが強くなりたいなら、竜洞窟の試練を受けてお母さんのところまで来いと言ってるの」


「え、まさか、さっきから吠えているのはアナンタのお母さんの」


「うん、そう、使いを出すから来いだって」


「アナンタのお母さんということは、拠点に一度来た王竜だよね」


「そうだよ」


王竜を想像しただけで、行きたくなかった。

目の前に立つだけで、一瞬で消されそうな圧倒的な力、強くなれるとしても行きたくなかった。


「海賊退治もまだだし、今回はちょっと」


「翔様、そんな事では強くなりたいのに成ることは出来ませんよ」


「わっ」


突然後ろから知らない声がしたかと思ったら、いつの間にか後ろに知らない人物が立っていた。

防護壁を張っていたはずなのに、どうやって侵入したのだろうか。

年齢、身長共に僕と変わらないくらいだろうか。

顔はアイドルグループにいそうなイケメン顔、緑色の髪に角が生えて、チャイナ服のような物を着ていた。


「お兄ちゃん」


「お兄ちゃん?」


「はい、私は案内役を努めさせて頂く森竜のラドンと言います。

兄弟は何人もいますがアナンタの兄になります」


まだ行くとも言ってないのに、迎えが来るなんて王竜に会いに行かないといけないの、行きたくない気持ちが大きいけどラドンの説明が始まった。


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