171 フレイムゴーレム討伐
直経10メートルほどの岩石は、高さ15メートルほどの巨大なフレイムゴーレムへと変化していた。
間近で見ると、その大きさに圧倒される。
体全体が溶岩の岩石でできており、ゴツゴツとした岩石が印象的で、呼吸してるかのように体の至る所で、血液のような赤いマグマが
流れているのが、赤々とよく分かる。
神楽と茜が、素早く動き両手に持った2本の小刀で攻撃していたが、初撃は弾かれ二撃目は岩と岩の間に入れたようだが、中に通って
いるマグマに小刀を溶かされて先端が無くなっていた。
二人とも同じ訓練を受けているので、同じ攻撃をして同じ事になっていた。
フレイムゴーレムは、蝿を払うように右手を動かすが二人は既に違う場所に移動していた。
「参ったなり。
小刀が一本ダメになったなり」
「姉様、どうしましょうか」
「これほどまでに巨大で頑丈だなんて、翔殿、魔法攻撃してみるなり」
「神楽、分かりました」
僕はフレイムゴーレムに向けてスキルを発動する。
「まずはアルケー、高圧雨」
アルケーは、フレイムゴーレムの上空に巨大な水溜まりを作り、そこから高圧の水をレザーのように打ち出す。
一本、二本と数を増やし、雨のように多段攻撃を行った。
一本目の攻撃では、フレイムゴーレムの表面を削るだけだったけど、数が増える度に削る量は増えるが、表面だけ削れて致命打にはなっていなかった。
「ダメです、表面しか削れていません」
「作戦会議をするなりか」
その時、フレイムゴーレムは口を大きく開け、こちらに向け灼熱のマグマブレスを吐き出す。
いわゆるマグマによる攻撃だ。
触れるだけでも、溶けて消えてなくなるだろう。
「危ないなり」
「危ない」
皆、叫びながら退避行動に移るが、一瞬出遅れた為交わせそうになかったが、目の前に高く大きな壁が塞ぐように出来上がり、マグマブレスを防いでくれた。
「ご主人様、大丈夫ですか」
「ありがとう、エルダ、助かったよ」
「いえ~、照れます~」
「こうなったら火には火で、どちらが高温で耐えられるか勝負だ。
エアル、ウェスタ、火災旋風」
「分かりましたわ、ダーリン」
「了解です」
突如、地面から吹き上がった炎は、風に煽られ空高く炎の竜巻となって、フレイムゴーレムに向かって進んでいく。
フレイムゴーレムは炎の竜巻を止めようとしているのか、両手を突き出して炎の竜巻を押さえている。
フレイムゴーレムの炎の竜巻に触れている両手は、赤々と高温に焼けているのが分かる。
僅かだったが、フレイムゴーレムは炎の竜巻を押さえる事に成功していたが、炎の竜巻に両手を弾かれ、フレイムゴーレムは全体を炎の竜巻に飲み込まれてしまった。
『グオー』
苦しみの叫び声だろうか、体中が赤々と高温にさらされていた。
「翔殿、凄いなり」
「これで倒せそうですね」
「いえ、これではまだ足りないでしょう。
これで更に冷して固めて、打撃を加えれば砕けるかも」
「分かったなり、打撃は任せるなり」
炎の竜巻は消えてしまったが、フレイムゴーレムは全体が赤々と燃えていた。
「エアル、アルケー、スキルスコール」
先ほどの高圧雨のコラボバージョン、風による下降気流で加速され、更に威力が倍以上になる。
フレイムゴーレムにレザーのような雨が降り注ぐ。
フレイムゴーレムを包んでいる岩石が少しずつ剥がされていき、体中の太さが二分の一になり、血液のように活動していたマグマは黒く固まっていた。
「あとは拙者達に任せるなり」
それぞれムラマサ、正宗を構え、フレイムゴーレムに向かって走り出す。
フレイムゴーレムも殺られまいと右、左とパンチを繰り出すが、素早い神楽と茜には全く当たらなかった。
神楽と茜は、攻撃を交わしながら刀で切り裂いていく。
「この刀は凄いなり」
「はい、姉様、凄い切れ味ですね」
そこからは速かった、あっという間に切り刻み細切れにして倒してしまった。
「翔殿のお陰なり」
「いえいえ、精霊達のお陰です」
「翔様の作戦がよかったのですよ」
「そう言ってもらえると嬉しいです」
「フレイムゴーレムの岩石をみるなり、硬くなってるなり、溶岩は冷えて固まると硬くなるなり、だから表面が剥がれ、動きが鈍くなったなり」
「へ~、そうなんだ」
「知らなかったなりか」
「まあ、そうですね」
「いいのではないですか、フレイムゴーレム討伐出来たし、聖霊石とドロップアイテムないか探さないと」
僕達は、聖霊石と火炎石、フレイムソード、銀鉱石を見つけキャンピング馬車へと戻った。





