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17 精霊

『コン、コン、コン』


朝早くから、玄関のドアを叩く音がする。

外を見るとまだ暗く朝にはなっていないはず、流石にこんな時間に仲間達は起きていなかった。

いつもなら僕は寝坊助で誰かに叩き起こされないと朝起きれないのに、今日に限って玄関のドアを叩く音で目が覚めた。

昨日、狩りで久しぶりに運動して、とても疲れていたので早く寝た所為なのかも知れない。


誰だろう?

僕は眠い目を擦りながら、玄関へと向かった。


「はーい、今開けまーす」


まだ日も昇らないうちに、そう思いながら僕はドアを開けると、そこにはミレナさんがいた。


「は~い、オッハヨ~、ミレナちゃんだよ」


「あ、え~っと、おはようございます」


「もう起きてた?」


「今、起きたところでした」


「え~、そうなの、じゃあ、中で待たせてもらうわ」


と言ってお構い無しに中に入り、勝手にリビングにあるソファーに座りくつろいでいた。


「昨日っていうか、さっきまで楽しみで全然眠れなくって~、早く来ちゃった」


「あ、は~あ」


朝からテンション高すぎのミレナさんに、まだ頭が眠っている僕は話がついていかず、曖昧あいまいな返事を返してしまった。


「あのね、何が楽しみってパーティー組むと、パーティー内でいろいろ共有出るようになっているの。

だから、もしかしたら精霊とか見えるかもと思って、そう思ったら楽しみで楽しみで興奮してしまって、昨日は全然眠れなかったの」


そう、まるで明日の遠足を楽しみにしている子供のように思えた。


「とりあえず、皆を起こして来ますね」


そう言って、僕は皆を起こしに行った。

流石に、まだ日も昇らない朝方、皆、まだ夢の中にいた。

特に、いつも夜遅くまで起きている隼人は、なかなか起きずに引きずり起こしてきた。


「みんな、おっはよう~」


ミレナさんが、挨拶するとみんな挨拶を返す。

皆、眠い目を擦りながら、あと少し眠れそうだったのにと呟いていた。

僕は先ほどの話をもう一度仲間達に話した。


「でもそれなら、自分たちも見れるのでは?」


「でも、全然見えないよね」


「エアリエルさん、今はエアルさんか、近くにいるのか?」


「ああ、僕の肩で半分寝ている」


ミレナさんが待てないのか、話始めた。


「おそらく、それは精霊のスキルが全く無いか、足りないかよ。

私は精霊スキルがあって精霊を光の粒としては認識出来ているから見えると思うんだけどね。

早速だけど、私もパーティーに入れてもらっていいかしら」


「はい、わかりました」


隼人がパーティー申請をミレナさんに送り承認される。


「ミレナさん、どうですか?精霊見えますか?」


ミレナさんを見ると顔が段々にやけ顔になり、僕をジッと見つめていた。

僕というよりは僕の肩に乗っているエアルを見つめながら、僕に近づいて来る。

勿論、僕ではなくエアルを良く見ようとする為に、近づいて来ているのだが端から見れば、僕を見つめながら近づいて行っているように見える。

三姉妹というだけあって、3人ともそっくりでミレナさんも美人だ。

こんな美人エルフに見つめられたら、一瞬で誰もが恋に落ちるだろう。

だけど今は僕の周りに仲間達がいるし、これからの関係を保つ為にもここで手を出してはいけないと頭の中で連呼していた。

ミレナさんは末っ子という所為なのか、性格は無邪気さや、あどけなさを感じる。

年齢から言えばかなり上のはずだが、エルフの年齢からしたら僕達とあまり変わらない若い年かも知れない。

だから、他の人達と比べて話しやすいと感じたのかも知れない。

僕はそんなミレナさんを少しの間、間近で見とれていた。


「ミレナさん?」


「あ、ごめんごめん」


「見えますか?」


「うん、凄いよ、初めて見た。

これが精霊なのね」


「そうよ、だから、こんな朝早くから起こさないで寝かせといて」


エアルは、大きなアクビをしながら背伸びをして、眠そうに返事をする。


「こ、声まで、聞こえる!」


ミレナさんは僕の精霊を見た後、自分の身体からだの周りをを見てつぶやいた。


「私の周りには光の粒だけ、精霊がいないわ...」


それにエアルが答えた。


「あなたの周りに、光の粒みたいなのがいっぱいあるでしょ、それも精霊よ。

下級の精霊だけどね、まだ意識がないけどその中から、力を持って意識が生まれると、私みたいな精霊になるの。

そしてさらに力を持つと、もっとくらいの高い精霊になるわ」


「なるほどね、私の精霊は成長途中って事ね。

私も頑張って成長するから、頑張ってね私の精霊達」


ミレナさんも朝食が、まだだったので一緒に食事を取り、僕達の準備が終わるまで少し待ってもらった。

そして準備が終わりリビングに皆が集まると、ミレナさんが話を始めた。


「今日のビックボアー狩りのついでに今回はその近辺のクエストを一緒にしようと考えているわ。

クエストの内容は、森の奥の湖に近づいたところで、何者かがよくいたずらをするそうなので、それの調査に行きます。」


『ギクッ』


今、エアルが少し驚いたような気がしたが気のせいだろうか?

昨日、あんなにけていた湖だが何があるのだろう。

エアルは行ってはいけないと言っていたが、主導権はミレナさんにある。

ミレナさんに付いていくしかなさそうだ。

もし万が一危険な事があってもミレナさんが居れば大丈夫だろう。

僕達はビックボアーを探しながら、問題の湖を目指して出発した。

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