164 隠密部隊
「チュー助、当分の間の資金として使ってくれ」
僕は銀貨十枚をチュー助に渡したら、最初チュー助は驚いていたが、頭を何度も下げ感謝していた。
「このお金には捕まった仲間への迷惑料だからな」
「はい、ありがとうでチュ。
これで食費が…」
「食費?」
「いえ、何でもないでチュ。
また何か分かったら報告来ますでチュ」
チュー助はそう言うと、馬車を降りて何処かへ走り去って行った。
「隠密部隊か…、景虎はこの街の隠密部隊は見つけられないの」
「難しいなり、向こうも気配を消しているだろうし、街人になりすまし街に溶け込んでいるかも知れないから、見つけるのは困難なり」
僕のマップでも確認するが、敵対しないと街の人達と同じなので区別がつかなかった。
「そうだ、ラウサージュ」
「何でしょうか、翔様」
「ラウサージュは、この国の人達に顔がばれている可能性が高いから、変装してくれないか」
「え」
「また、ラウドに戻って欲しいんだ」
「え~っ」
「ついでに景虎、茜、その忍者のような格好、逆に怪しまれるから着替えてくれ」
「え~、何に着替えろというなりか」
「ほら、二人で買ったじゃないか、メ、イ、ド、服」
「イヤだ~」
景虎と茜は嫌がっていたが、ラウサージュの一言、「命令です」でおとなしく着替えていた。
僕は着替えが終わるまで馬車の外で、のんびりと待っていた。
着替えが終わり、馬車から降りてきた。
まずはラウサージュが出てきた。
学生服のようなスーツ姿で、長い髪を隠す為だろうか帽子を被っている。
男だと言われても、騙されるくらい美男子、女の子にモテモテだろう、女性だと分かっていても妬ましく思ってしまう。
「翔、待たせたな」
言葉も変わってる。
演技が凄すぎて、役になりきっている。
次に出てきたのは、景虎、茜、姉妹が出てきた。
びっくりしたのは、景虎と茜が双子かと思えるほどそっくりで見分けがつかなかった。
唯一違うのがメイド服の色、景虎は青色で茜は赤色のメイド服を着ていた。
「やっぱり景虎は、女性だったんですね。
普段、顔を見せないようにしていたから分からなかったですが、姉妹揃って美人ですね」
「恥ずかしいなり」
「翔様、今は裏の顔じゃなく表に出ているので、景虎じゃなく神楽と呼んでやってください」
「茜、名前まで教えなくてもいいなり」
「あら、その格好で景虎は可笑しいでしょ、姉さん」
「ぐぐっ」
「俺も初めて知ったよ。
名前も、女性だということも」
「ラウサージュ様~」
「今はラウドだよ、神楽」
それから皆が笑いながら降りてきた。
話を聞くと神楽を女性らしくする為、皆で髪を束ねたり、化粧したり、前の姿とのギャップが違いすぎて驚いていた。
確かに、忍者の時の顔は知らないが、今は美人だから、なぜ顔を隠していたのか疑問に思ってしまう。
「皆、揃った所でどうするか」
「やはり、ギルドに行くべきなり」
「まだ買い物もしていない」
「それじゃ、買い物しながらギルドを目指すか」
「賛成」
精霊達は、回りで遊んでくるといって、消えて何処かへ行ってしまった。
僕達は、お店を一軒ずつ見ながらギルドを目指した。
隠密部隊は、本当にいるのだろうか。
マップを常に確認しながら、回りを警戒していた。
そして、少し進んだ所で、黒い服装の忍者10人ほどに囲まれた人物を目撃した。





