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162 イルプレーヌ

次の日、イルプレーヌに向けて馬車を走らせていた。

僕は昨日の事で、とても気まずい気持ちになっていたが、狭い運転席の回りに妻候補達は陣取っていた。


更にその回りに、精霊達とアナンタが割り込もうとしていたが、妻候補達に阻まれた為、精霊達は諦めて何処に出掛けて行ってしまった、アナンタは二階でふて寝に入ったようだ。


イルプレーヌまでに関所を三ヶ所通過したが通行許可証を見せるとすんなり通過することが出来た。

最初から通行許可証くれればいいのにと思ってしまう。

海岸道路の一本道を妻候補達と会話しながら進み、1時間ほどでイルプレーヌの街が見えてきた。


街の大きさは王都と変わらないくらい大きい。

高い城壁が街を取り囲んで、城門が二ヶ所付いている。

海にも面しているようで 、大小、何艇もの船が街に出入りしているのが見える。


街に入る為、城門に並ぶ人の長い列が出来ていたので、その列に急いで並んだ。

並んで1時間ほどで順番が回ってきて、通行許可証ですんなり入れるかと思っていたら、街に入るためには、街の人達は銅貨1枚、その他の人達は銀貨1枚納めなければならないらしい。


「ちょっと、銀貨1枚って高すぎない。

他の街ではお金取っていないわよ」


秘書の茜が文句を兵士に向かって言っていた。


「規則だから、この街を維持していく為には、多額の資金が必要なのだ。

だから何にでも税をかけていかないと、この街は破産してしまう。

すまないが協力してくれ」


そこまで言われると払うしかない。

でも他にやるべき事があるのではないかと思う。

まず兵士の数が多すぎる。

もっと減らしてしても大丈夫そうだけど、あと関所、そんなに沢山要らないだろう、税を徴収するより、資金を使わないように押さえれば良いのではと考えてしまう。

僕はここの領主じゃないから、どうでもいいけど、自分の街も人任せにしてるくらいだから。


銀貨1枚を支払い街の中に入っていく。

街は、入り江の港街を丸ごと城壁で囲んで作られていて、小高い山の上まで家が建ち並び、家の壁は白、屋根はオレンジで統一されていた。


港には沢山の船が係留されていて、軍艦らしき船もあった。

ほとんどの船は帆船か手漕ぎかだが、大型の船を見ると蒸気船だろうか、煙突から煙が出て船の横に大きな外輪が付いていた。


海からの貿易で、街はかなり潤っているように思える。

海産物もそうだけど、貿易で他にはない珍しい物も出回っていた。


「翔くん、ペイヴワールでは一個まだ買ってなかったけど、この街で買ってもいいかなぁ」


「いいよ、沙羅」


「私達も買ってない」


「皆、1つなら買ってもいいよ。

あまり高すぎない物でお願い」


「やった~」


「エマも、ルナ、茜、景虎も買っていいよ」


「ありがとうございます」


「一軒ずつ見て行きましょう」


「あ、え~っと、僕は休んでていいかなぁ」


「ダメです、一緒に回りますよ」


「そうですよね」


また買い物に付き合わせられるなんて、買ってやるなんて言わなければ良かったと後悔してしまう。


城門入り口にある馬車屋に馬車を預け、近くのお店から一軒ずつ見ていく。

精霊達もいつの間にか、人の姿で付いてきていた。

道なりに行くと港の方に向かう道と丘の方に登って行く道があったので、お店が多そうな港の道を進むことになった。


「ご主人様、お腹すいた」


「もうですか」


「我輩、魚がいいニャ」


「空、クロが何か言っているよ」


「翔くん、お願い」


「仕様がないな、何か食べるか」


この街に何の為に来たのか、分からなくなってきた。

何か美味しそうな匂いがする。

匂いのする方に行くと焼き小屋があった。


「沙羅、空、焼き小屋がある」


「本当だ、懐かしい」


「よく同級生で、近くにある焼き小屋でパーティーしたっけ」


「あのときも翔くん1人で黙々と食べていたね」


「ほっとけ、ここに入ってみるか」


「はい、翔様がいいなら」


焼き小屋に入ると中は長細く奥に続いていた。

テーブルの真ん中に炭を置き金網が上から被せてある。

メニューを見ると海産物はほとんど準備されているようだ。


「何食べる」


「魚ニャ」


「私達は何でもいいから沢山食べます」


「それじゃ、適当に頼むよ」


適当に人数分、頼んでいく。

精霊達とアナンタ、クロは沢山食べるから多目に、魚、トゲの付いたアワビ、牡蠣みたいだけど普通の倍以上ある。

ヒトデなんか食べられるのかなぁ、変わった物が多かったが、出てきたからには食べられると思い、片っ端から焼いていく。

新鮮だから美味しいのか、僕も負けずと食べていく。

デカイカニが出てきたが、カニなのか足の数が多く12本もあり、大きさも人と変わらないほどの大きさだ。


「これなんだろう」


「形はカニですね」


「化け物ガニ?」


「足も大きいから、足一本丸々食べごたえありそうですね」


「食べるのもいいけど、この街ですること覚えているか」


「そうですね、まず海賊退治ですか」


「正解だ、ラウサージュ」


「それとラウサージュは正体がばれないように変装しないとな」


「え」


「まあ、それは後から話すとして、海賊について聞き込みだな」


「またギルドか酒場ですかね」


「そうだな、そのくらいしかないか、後は街の人に聞くか。

それにしてもチュー助からの連絡会来ないな」


「呼びましたかチュ、翔さま」


「え」


いつの間にか僕達の隣で一緒に食事を取っていた。


「ご馳走になっているチュ」


おごらないから」


「そんな殺生なチュ~」


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