159 クロネコのクロ
近くにあった食堂へと駆け込む。
クロネコが何を食べるのか分からなかったので、適当に料理を注文した。
精霊達とアナンタは、よく食べるので多目に、そしてクロネコは猫だから魚系を多目に注文した。
料理が運ばれてくると、ぐったりとしていたクロネコは匂いにつられたのか、鼻をヒクヒクさせている。
そして目を開けたかと思った瞬間、目の前にあった焼き魚に貪り食べ始めた。
最初はよほどお腹が空いていたのだろうとしか思えなかったが、だんだんただの食いしん坊じゃないかと思えるほど食べていた。
精霊達、アナンタと同じくらいの量を食べていた。
一時間ほどの食事を終え、クロネコの話に成っていた。
「クロネコさん、食い過ぎじゃないですか」
「すまないニャ、もう1週間も何も食べなかったニャ」
「お金は払ってもらいますよ」
「そんニャ」
「翔様!」
「冗談、冗談だよ」
「お金持ってないから払えないニャ」
「それはそうと、どうして路地裏で倒れてたの」
「それは話せば長い話になるニャ。
それでもいいかニャ」
「聞かないと何も分からないし、聞かせてくれ」
「分かったニャ。その前にデザート食べたいニャ」
「早く話すのと食事代支払うのどっちがいいか」
「翔くん!」
「空、これは冗談じゃないぞ」
「分かったニャ。話すニャ
我輩、奴隷としてご主人様とこの街に商品を売りによく来ていたニャ。
他の所で安く買って、それを高く売っていたニャ。
1週間前、この街に来た時、兵士達に何度も街に訪れるのを疑われて連れて行かれたニャ。
ご主人様は『何も悪いことしてないから大丈夫、戻って来るから待ってなさい』と言われたので待って居たけど、なかなか戻って来なかったニャ。
そして気付いたニャ。
我輩が奴隷ではない事に。
そして多分、ご主人様は殺されたニャ。
お金を持っていなかった我輩は、空腹に耐えご主人様を待って居たけど、そのまま倒れて気を失っていたニャ。
そこを助けてもらったニャ」
「お前のご主人様は、本当に商売だけだったのか。
情報を集めてたりとかしてないか」
「我輩、ご主人様といつも一緒だったニャ。
ご主人様に限って、そんな事なかったニャ」
「で、クロネコはこれからどうするんだ」
「新しいご主人様を探しに行くニャ」
「翔くん」
「どうした、空」
「あの~、クロネコさん、連れていってもいいですか」
「それは、僕の決める事じゃない。
空がどうしたいかだ」
「私は…、クロネコさん、連れていきたい」
「なら、空、クロネコはお前が奴隷にするのか、ファミリーとして受け入れるのか、ペットにするのか決めるんだ」
「私は、クロネコをファミリーとして受け入れたい」
「空がそうしたいなら、そうしてくれ。
クロネコにも聞かないとな」
「はい。
クロネコさん、私の家族になってくれませんか」
「我輩でいいのかニャ」
「はい、お願いします」
「ありがとうニャ、1人だと同じ運命を辿る所だったニャ
それと忠告ニャ、この街から早く離れた方がいいニャ
兵士達に連れていかれて殺されるだけニャ
あと、名前はどうでもいいニャ、クロネコとよんてもかまわないので」
「それなら、クロで決定」
沙羅、空、ラウサージュは、同じ意見で早めに街を出ましょうと言っていた。
買い物の途中だったが、慌てて馬車に乗り込み、馬車を走らせた。
この先にも確か関所があったはずだ。
上手く通過出来るかどうか





