152 ネックレス
精霊達はいつものように飽きたのか、消えて何処かへ飛んでいった。
お腹が空いたらまた戻って来るだろう。
街を見て回っていると、女性達は1つのお店のショーウインドウを眺めていた。
「良いわね」
「1度はあんなの付けてみたいわね」
「憧れるわよね」
女性達は、何を言っているか気になったので覗いてみると、アクセサリー屋で店に展示しているティアラ、ネックレス、指輪等を見ていた。
やはり女性は光物に憧れるものだろうか。
このネックレスに付いている宝石、防護石と同じくらいの大きさだな、宝石の代わりに防護石を付ければ、常に付けていられるのではないかと考えた。
「皆は、ネックレスとかつけるの」
「舞踏会などで付けますが、普段は付けないかと」
「そうなんだ、このネックレス買ったら、いつも付けてくれる?」
「え、翔様が望めばいつでも」
「翔くんって、ネックレス付けている子が好きなの」
「そう言うわけじゃないけど」
何か勘違いしているみたいだが、ネックレスを買う為、皆で店の中に入っていった。
「何をお探しでしょうか」
「あの窓の所に飾ってあるネックレスを見せて欲しいんだけど」
「お目が高い、このデザイン製もさながら、中心に付いておりますこの宝石は珍しく数があまり出回っておりません。
残り僅かになっておりますので、早めに買われた方がよろしいかと思いますが」
「いや、宝石は必要ないんだけど、このネックレスだけ欲しいだけど」
「えっ」
「出来れば、この宝石を外して、この防護石を付けることできないかと思って」
アクセサリーの亭主は暫く考えていたが、
「分かりました。ネックレスのみ売りましょう。
今回だけ特別ですよ」
考えた挙げ句、ネックレスだけでも売った方が良いと考えたのだろう。
「それじゃ人数分と防護石を付けてくれないか」
「人数分ですか…、分かりました。
私も商売人、売ると言ったからには人数分受けましょう」
「ありがとう」
ここでも忍者はいらないと言われ、アナンタはまだ早いから六人分で大丈夫かなぁ、防護石を渡し2日ほどかかると言われたので金貨6枚を渡してお願いした。
ネックレスと宝石を合わせ金貨1枚だったが、防護石の付け替えがあるので、ネックレスと宝石の付け替えを入れて1つ金貨1枚でお願いした。
「影虎さんと茜さんは、いつもどこで買うのですか」
「いつもは、萬屋なり」
「そうですね、あそこの品揃えは豊富ですからね」
「僕も見てみたいので、そこに案内してもらえますか」
「分かりました。翔様、付いてきてください」
影虎さんと茜さんの後を付いていくと、大通りから1本裏通りに入ったあまり目立たない所にお店はあった。
なかなか広い店舗に、出口の扉の上に大きく『よろず屋』と書かれていた。
目立たない裏路地で商売が成り立つのか心配だったが、訪れる人は居るようなので隠れた人気店だと理解した。
景虎さんと茜さんは待ちきれないのか、皆を待たずに中へと入っていった。
中にはいると、そこには戦国時代に使われていたような刀や鎧、弓矢、洋服など置かれていた。
何故か二人は妖刀の方ばかり見ていた。
二人で話ながら、何かマニアックな話になっているようだが、僕にはさっぱり分からなかった。
聞いていても何かの暗号なのかとしか思えなかったので、二人の世界をそっとしておいた。
僕も刀を見てみると、聞いた事のあるような名前がたくさんある。
妖刀といっていたので、これかなムラマサ、そしてそのとなりに正宗が置いている。
値段は一本金貨20枚、高いのか安いのか分からなかったが、店の見えやすい場所に厳重に保管されていたし、先ほどまで影虎さんと茜さんが暫く語り合っていたので、これなら気にいるだろうとムラマサと正宗を買うことにした。
どちらを使うかは本人同士が決めるだろう。
「景虎さんと茜さんの武器はムラマサと正宗でいいですか」
「こんな高い物、買ってもらう必要ないなり」
「はい、景虎さんと茜さんには、皆を守ってもらわないといけないから先行投資です」
「本当に、本当にいいなりか、ありがとうなり。
茜、どちらの刀、使うなりか」
「私は、どちらも捨てがたいですね、
翔様ありがとうございます」
本当は、欲しかったのだろう、忍者なのに、はしゃいで喜んでくれていた。
どちらの刀を使うか、二人で相談していたがなかなか決まりそうになかったので、「帰ってから決めればいいのでは」と僕は一言言って刀の話は一時保留となった。
あとは防具か、武器だけで充分だと言われたが、少しでも防御上げとかないと何が起こるかわからないからと言い聞かせ、選んでいると、何故かメイド服が置いてあった。
『何故メイド服が』と思ったが、いろいろ偽装することが多いので、コスチュームもその分あるようだ。
見た目はメイド服でも、服にチタニウムを混ぜているので、なかなか刃物でも切れない物理防御も高そうだし魔法防御も施されているようだし、それに何て言っても憧れのメイド服、元の世界で一度は行ってみたかったメイド喫茶、今は行けないのでせめてこの世界でメイド喫茶の雰囲気に包まれたい。
1着金貨2枚か…。
「これ2着ください」
「2着なりか」
「はい、勿論、影虎さんと茜さんの分ですよ」
「拙者も着るなりか!」
「はい、だって多分、影虎さんは女だと思います」
「な、何故なりか」
「ラウサージュの護衛に男は付けないと思う、だってずっと見られてるのでしょ。
それに風呂場事件、たまたま僕だったけど、護衛の景虎さんなら何か起きたら、すぐ駆けつけないといけないのに男性のはずがない。
という事で間違いなく女性でしょ」
「うっ」
「私からもそう思っている事を説明したいと思います。
再び参上、私、ホームズ沙羅が真実を解き明かす」
「沙羅、いつも中途半端じゃないか」
「翔くん、途中で話を折らないでくれる」
「はい、ごめんなさい」
「オッホン、まず翔くんの言うとおり王女の護衛が男のわけがない、それは王女の裸を見られると婚姻しないといけないなら、一番身近な護衛が見る確率が高いと思う。
わざと見て王家に入るという手もあるし、だから護衛は女性じゃないといけないと考えるわ。
それならどうして男性として振る舞ったか、それは男装癖があるからよ」
「そんな訳あるわけないだろう」
「違うなり」
「…、そ、それは冗談として、本当は…、」
「本当は?」
「ちょっと今考えているから…、」
「考えてなかったのか」
「わ、わかったわ、ラウサージュ王女が男装して苦労しているから、景虎さんも男装して同じ境遇を共有しようとしたのではないですか」
「まあ、だいたい合ってますわ、私がラウドとして男装して調べていた時、男性の振る舞い方に親身になって一緒に考えたわ。
その時いつの間にか景虎も男装して男性らしく振る舞い初めたの」
「ラウサージュと景虎さんは一心同体ということですね」
「ホホホ、私、ホームズ沙羅の解き明かせない事はないわ」
「はいはい、でも何故お風呂場の時、僕の方が先に入ったのですか」
「それは、翔様が近くにいたこともあるけど、景虎が出遅れたのよ、その所為で…、でも今は感謝してるわ」
「え」
景虎さんは何も言わなかった。
メイド服は2着買ったけどね。
あとは頼んだのが仕上がるのを待つだけか、取り敢えず王宮に戻ることにした。





