138 午後
昼食を取り終わった頃、ギルドの契約者がやって来た。
応接室に通し、僕一人ではギルドの事が全く分からなかった分からなかったので、イマリさん、ラーカスさん、アメリアさん、そして秘書の茜さんが一緒に出席した。
ギルドの役員さんが、長々とギルドの説明を行っていたが、寝耳に水で僕にはさっぱり分からなかった。
「これで説明を終わりますが、何か質問はないでしょうか。
なければ契約に移りたいのですが」
「月に金貨1枚が必要と言うことでしたが、これは本当に必要なのですか」
「はい、必要になります。
ギルドを維持していく為の資金と考えてください」
「今まで、他の街では払ってなかったと思いますが」
「失礼ですが、この街は辺境地にありますので、ギルドとしての収入が見込まれません。
ギルドを運営する上、ある程度の資金が必要になりますので、その足りない分の補填費として必要になります」
「しかし、それはギルド全部でカバーするべきではないでしょうか。
どう思いますか、領主」
「…あ、僕か」
そうだな、確かにこの街では儲けが少ないからと言ってギルドの補填費を払う必要はないと思う。
例えば大企業の子会社が赤字になった場合、大企業である親会社が子会社に資金を出すのが当たり前だ。
そもそもギルドの資金を出せと言う方がおかしいと思う。
「そう言われるとそうですね」
「金貨1枚払えないということですね」
「そういう訳ではありませんか、金貨1枚払うなら、ギルドの儲けが出た場合こちらに還元されるのでょう」
「売り上げの一部を渡せと言うことでしょうか」
「建物も用意して資金を出しているから当然でしょう」
「この件に関しては、一度持ち帰ってから議論したいと思います」
「ウム、分かった。
先に建物の件を話しますか」
「設計図をお持ちしましたので、このような感じでお願いします」
「普通の建物と変わらないようだな」
「はい、特別なことはありません。
ただ転送装置のある部屋だけは頑丈に作って頂きます。
お金や荷物は全て本店に集められますので、基本お客様のお金や荷物は置いておりません。
必要な時に本店から転送されます」
「分かった。建物は設計図通り作ろう」
「よろしくお願いします」
「あとは、月々の資金の件よろしくな」
「畏まりました。結果が出ましたらご連絡します」
ギルドの職員は、少し不満げに帰っていった。
「金貨1枚くらい払ってもいいのでは」
「翔様、ダメですよ。
無駄な所にはお金をかけない、資金がまだまだ足りないのですから、節約しないと」
確かにそうだな金銭感覚がおかしくなってくる
そしてもう日が暮れ初めている。
長い話だったからな、僕の1日を返せと言いたい。
先にギルド支部の建設に取りかかっていた。





