130 王都へ
次の朝早く、早速、輝光石を売る為に王都へと出発した。
今回は早く着きたかったので、エアルにお願いしてジェット機みたいに、高圧縮した空気を吹き出すイメージで飛んでみたかったが、実際は、ロケットみたいに一直線に飛んでいく。
その後ろから、アナンタが大きな翼を広げ追いかけてくる。
向きも変えられず、何処に行くかは風任せ、ただ僕は風圧に耐えるだけだった。
回りの景色を楽しむ余裕もない。
ヘルメットがあれば大分違ったのだろうが…。
目を開けることも困難になので、メニューのマップ画面で位置を確認する。
方向は、エアルに指示して向きを変えてもらう。
そろそろ、サンピースの上空を通過するな、セレナさん今回はごめんなさい。
次はちゃんと寄りますから…。
僕に気付いて上空を見る人は何人位いるだろうか。
見ても一瞬だから誰かは分からないだろうけどね。
もうすぐ、王都に着きそうたけど僕の体の方が限界かも、エアルに言ってこの辺りで下に降りることにした。
街道から少し離れた場所に着地する。
さてと、街道はどちらかなぁと思っていたら、何やら争う音が聞こえてくる。
『カキッ、カッキン』
剣と剣がぶつかり合う音、罵声に悲鳴をあげている声がする。
僕は、急いで音のする方に向かった。
目にしたのは、馬車を襲っている盗賊とそれを守る傭兵、しかし守る傭兵の生き残りは一人しか居ない。
最後の一人も盗賊の手にかかり、見ている前で剣が突き刺さり、ゆっくり崩れ落ちていく。
そして馬車の中に乗り込もうとしていた時、僕は勢い良く走り出していた。
僕は、リングボックスから長剣と短剣を一本ずつ取り出し、左右の手に持ち馬車に乗り込もうとしていた盗賊を後ろから長剣で突き刺した。
「グッ」
急所に当たったらしく、男は振り向き様に斬りかかろうとしたが前のめりとなり、そのまま地面へと倒れた。
「何もんだ、お前は」
「よくも殺りやがったな」
盗賊達は、馬車の左右から襲いかかってくる。
右側から三人、左側から四人走って来るたが、一度に襲いかかって来ると面倒なので、まずは数の少ない右側から倒すことに決め、僕は三人の盗賊の方に走り出した。
まず先頭を走って来た男を、低い体制から長剣を横に切り、短剣で突き刺す。
そして後ろから来ていた男を、今突いた男を盾にし、そのまま押し倒し見えない死角から長剣と短剣で突き刺した。
残りの一人は、逃げ出そうと背を向け走り出していたので、短剣を投げ背中に命中し倒れ込んだ。
あとは反対側と思ったら、すでに精霊達が倒した跡だった。
まだ盗賊が居るのかと思いながら、馬車を覗くと、そこには四人の家族が乗っていた。
服装から農民とかではなく、貴族とか商人など少し裕福な家庭の印象を受けた。
夫婦と息子と娘の四人、そして荷物が沢山積み込んでいた。
「もう大丈夫ですよ」
僕は隅っこで固まっている家族に声をかけたが、こちらをじっと見て敵か味方か判断しているようだった。
そして夫が立ち上がり、こちらへ歩いて来る。
「盗賊達は?」
「皆、倒しましたが傭兵達は、残念ながら」
「そうですか、盗賊を倒して頂いてありがとうございます。
お礼をしたいのは山々なのですが、元イザカロ国から追い出された者でして」
「元貴族と言うところでしようか」
「はい、今は市民に落とされましたけど」
「今から、どちらに向かわれるのですか」
「噂で、元イマリ王がいらっしゃる街が有るそうなので、そちらへと向かう途中だったのですが、こういった事になりまして」
「僕も王都で用事を済ましたら、同じ方向に行くつもりですが、もし宜しければ一緒に行きませんか」
「それは、有りがたいです。
ここから護衛無しでは、流石に無理でしょうから、貴方のような凄腕の人が付いてくれると安心出来るのですが」
「そしたら、まず王都に戻っていてください。
僕は、ここの跡片付けをしてから行きますので」
「それでは、王都でお待ちしております。
待ち合わせ場所は、何処にしましょうか」
「あ、大丈夫ですよ、ちゃんと見つけますから、適当に過ごしていてください」
「そ、そうですか」
何か納得のいかなかったのか、不自然さをかもし出しながら、元貴族は、王都と戻り始める。
確かに、今あったばかりで名前も知らない人物に場所も決めずに、待ち合わせするなんて無謀としか言いようがないが、僕には、マップ機能がついている。
さっきの人に印を付けていれば、何処にいても直ぐ居場所が分かるから便利、ついでに盗賊の仲間が近くに居ないかチェック、僕に敵対しないと赤にならないから襲われているのか良く分からないな。
森の中に13人位固まっている場所があった。
とりあえず、盗賊と傭兵を森の中に埋めて、カネになりそうな武器、防具、貴重やお金など、『もう必要ないから、ありがたくいただきます』土に埋めた工賃として貰うことにした。
あとは、森の中だな。
静かに気配を消して動き始める。





