13 二日酔い
セレナさんに起こされ一緒にリビングに向かうと、全員起きて食事を取っている最中だった。
テーブルを見ると既に僕の分の席も食事も用意されていた。
木のコップに注がれた何の動物かは分からないがミルク、大きな木の器に入れられた野菜の盛り合わせ、バスケットに入れられたフランスパンより硬いパン、木の皿には何の卵か分からないが目玉焼きが用意されていた。
隼人が食事の準備が出来たので呼びに行こうとしたら、丁度セレナさんが来て、そのまま僕を起こしに来たそうだ。
「おはよう」
「翔、おはよう」
「翔くん、もう大丈夫なの?」
「大丈夫か、翔」
それぞれ心配して僕に声をかけてくる。
僕は1人ではないんだ。
僕を気にかけてくれる人がいるというだけで、何でこんなに安心するのだろうと感じた。
「ああ、大丈夫みたい。
心配かけてゴメンな」
皆に心配かけているようだったので、謝りながら席につき一緒に朝食を取りはじめた。
そしてセレナさんの分も用意してあるようで、僕の隣の席につき朝食を取っていた。
「翔くんが居なくなった後、大変だったんだからね」
「皆、回復魔法で回復させてから宴会が始まったんだけど、翔くんが心配で...」
「翔くんにも回復魔法かけて傷は無くなったけど、魔力不足で意識が戻らなくて、それでセレナさんが休ませれば大丈夫だからって言うから、家に連れて帰って部屋に寝かしたんだけど、その後が大変、歓迎会に戻ったらお酒勧められて...」
「未成年だからと断ったのに~、こっちの世界ではもう成人しているって言って、お酒飲ませれて...、も~う最悪」
「初めて飲んだけど不味い不味い、よく大人はあんなもの飲めるわよね」
「料理は、まあまあ美味しかったけど」
「次々に注がれて、今も飲み過ぎて多分これが二日酔いなんだろうけど、めっちゃ頭痛いし」
「良かったわね翔くん、居なくて」
やけに嫌味っぽく聞こえるのは気の所為だろうか?
昨日の事を皆で食事を取りながら話をしていた。
レベルの話を聞いたら皆、レベル3に上がったそうだ。
自分だけレベルが5なのは、最後まで奮闘した所為だろうか?
そしてファミリーの話になりエアリエルの事を話したら、自分たちも可愛いペット探そうと息巻いていた。
僕の場合たまたまで、探そうと思って探した訳ではないのだけど。
一緒に食事を取りながら黙って聞いていたセレナさんが、皆の話の区切りを見つけて話を始めた。
「ちょっといいかしら、今日の初めての任務は狩りによる食事調達に行ってもらおうかと思ってるの。
狩りに行ってもらうのは、まだ初めてだしこの辺りの地理も分からないと思うから、まず迷子にならないように地理を覚えてもらう事も兼ねて、この拠点の近辺の森の中で狩りをやってもらうわ。
魔物は出ないから、安心して食べられる食材を狩ってきて欲しいのだけど、ターゲットはビックボアーという動物ね。
大きな猪だから、すぐ分かると思うわ。
食料としても美味しいし、戦闘経験もつめて経験値も貯まるからお得感満載。だから頑張って狩ってきてね。
あと素手では戦えないだろうから、初期装備として使い古しの安い装備しかないけど、皆に配るから無いよりはましだから」
それぞれに武器を取り出して渡していく。
祐太には剣と盾、海斗にはナイフ二本、沙羅には弓、紗耶香と僕は杖を貰った。
「あまり良いものではないけど、目指すは冒険者に転職できるレベル10まで。
ビックボアーのお肉、楽しみに待っているからね」
セレナさんが帰るのを見送り、僕達は身支度を整えて城門から村の外へ出た。
拠点フルールイルを出たのはいいが、ビックボアが森の何処にいるかも分からなかったので、取り敢えずくまなく探すしかなかった。
地理の確認の為にも拠点の周りを一周、回って見ることにした。





