128 ダンジョン改造
ダンジョンに向かう前に、一つ注文したい物があった。
今回の旅は長くなりそうなので、いちいち夜営の準備をしているとめんどくさくなるので、キャンピングカーのような物が馬車で出来ないか考えていた。
大工に頼むべきか、それとも馬車屋に頼むべきか考えていたが、今は街の増設が忙しいので、ここでは無理だろうし、セレナさんの所のサンピースも同じ状況だろう。
あとは首都なら、出来そうな人材が揃っているだろうが、誰に頼べばいいか…、ラウージャに頼むか。
王家の人間だし、コネはいくらでもあるだろう。
早速、ラウージャに指輪で連絡をとってみた。
「どうした、翔、珍しいじゃないか」
「ちょっと頼み事があって」
「なんだ、何か困り事か」
「馬車を改造して欲しいんだけど、知り合いに詳しい人いないかな」
「馬車を改造?」
「詳しくは、簡単な設計図を作ったから送るよ」
「ああ、えーっとこれは馬車に住むつもりか」
「今回、少し遠出になりそうなので、家を移動するようなイメージで」
「どこまで行くんだ?」
「水の街経由で千年の森まで行くつもりなんだけど」
「水の街か、なるほど、わかった早速頼んでみるよ。
楽しみに待っていてくれ」
「すまないがお願い」
何か最後に、嫌な予感がしたのだが気のせいだろうか。
まあ、馬車の依頼はできたから、ダンジョンに向かうか。
僕は精霊達、アナンタと共にダンジョンに向かった。
ダンジョンの回りには、何組かのパーティーがダンジョン内に入る準備を行っていた。
前に来たときは、誰一人居なかったのに、何処から嗅ぎ付けたのか、僕は不思議に思った。
中に入ると多くの冒険者達で賑わっていた。
まだレベルの低い人達だろうか、三人一組で一匹のスライム相手に戦闘を行っていた。
それを横目に奥へ進むが、なぜか魔物達が僕達を攻撃せずに素通りしていく。
「どうして、攻撃してこないんだ」
「ご主人様、それは当たり前です。
このダンジョンの主ですから、主には攻撃してきません」
「なるほど、それもそうか」
僕は、冒険者達の戦闘を見ながら、地下へと向かって行った。
冒険者達で一番地下まで来ていたのは
24階層まで来ていた。
余程の熟練者だと見受けられる。
最下層の30階層まで来るのは、時間の問題だと思われた。
最下層の神社の後ろにある部屋に入り、設定を調整していく。
「エルダ、もっと地下層を作ることは出来る?」
「ご主人様、それは可能ですが、今貯めているエネルギーをほとんど使ってしまいますが、よろしいですか」
「ああ、50階層まで作れるかなぁ」
「はい、可能です」
「それじゃ、階層を50に、50階層から出てくる魔物のレベルも、上げられるだけ上げて」
「了解です。早速作り始めます」
「そして聖霊石の作成をフル活動、余った聖霊石を僕のリングボックスに移動することは出来る?」
「はい、出来ます。あ…」
「どうした」
「地下へと掘り出したら、何か固いものが」
「固いもの?それを退けないと先に進めないのか」
「はい」
「とりあえず、そこに行ってみよう」
いつの間にか、30階層より下に続く道が出来ていた。
道を下って行くと、突き当たりに固い岩盤が塞がっていた。
大きさは全く分からない、掘り起こすということは難しそうなので、穴を開けるしかないが、
「これ、割れる?」
考えるよりやってみるか、まずはアルケーの水圧ビーム、少しずつ削っていくがレベルの上がったアルケーでもこのくらいか。
それなら、アナンタとウェスタの炎で加熱、そしてアルケーの水圧で急速急冷、岩にヒビが入っていく。
「よし、あとは皆で叩け」
ヒビが入った場所から、岩が少しずつ剥がされていく。
ボロボロと崩れ始め、岩盤に大きな穴が空いた。
空いた穴から奥を覗くと、そこは空洞になっており何やらキラキラ光っている。
まるで夜空の星のように、綺麗に輝いていた。





