125 人事任命
僕は、主だった者を支部に集め、それぞれ任命することにした。
「まず、僕が居ない時に指示を出す副領主を、イマリさん、お願い出来ますか」
意外な人選で皆からのどよめきが起こる。
「私が副領主になると、敗戦国の王ですよ。
回りの体裁もあるし、街の発展に悪影響があるかも知れませんよ」
「それは良く考えました。
でもイマリさんにお願いしたいです。
僕じゃ、まだ街の発展について良く分からないし、イマリさんならその辺り詳しいだろうし、あと元イザカロ国の貴族、住民を多く受け入れたいと思ってます。
街の発展には、人口を増やし商業を増やすことだと思いますので、イマリさんの力で街の発展をお願いします」
「そこまで考えていらっしゃるなら、何も言うことはありません。
微力ながらお手伝いさせて頂きます」
「街の防衛を、元イザカロ国の騎士達にお願いします」
「そんな大事な役割、我々に任せて大丈夫ですか」
元騎士団の団長が答える。
あれ、そう言えば名前を聞いて無かったな。
「はい、防衛を騎士団、団長に一任します。
すいません、名前お伺いしてませんでしたね」
「私は、元イザカロ国の騎士団長を勤めさせて頂いていた、アンディと言います。お見知りおきを」
アンディと言った男は、背は高く身長約180センチ位だろうか、見た目の印象は生真面目でかなりのイケメンだ。
髪は金髪、肌の色は白、年齢は30歳前後だろうか、騎士団長だったこともあり皆を引っ張ってくれるだろう。
「それではアンディさん、街の防衛お任せします」
「承りました」
アンディさんは、右手を胸に当て片膝をおり屈んで忠誠を尽くすポーズを取る。
流石、騎士だ。
「遊撃隊の隊長を、隼人、お願いしていいか」
「遊撃隊って、何するんだ」
「まあ、何でも屋かなぁ。
今まで通り、食料調達や魔獣狩り、クエストをこなして金銭を稼いだり、何かあったときは、防衛隊と一緒に行動したりといろいろだな」
「まあ、頼まれたからにはやるよ」
「ありがとう。
あとこの街の制度として、最低限の生活は保証したい。
貧困の人達を無くしたい。
奴隷制度を無くす。
議会制度をとりたい。
それぞれの代表者を集めて、街作りをやっていきたい。
民衆から何名か、商業者から何名か、あと貴族や元貴族から何名かずつ集めてやっていきたい。
資金も少ないので、一度には無理かも知れないが、少しずつ改善していこうと思うから協力してくれ」
「オー」
大きな歓声で幕を閉じる。
まだまだ人材が足りないので、探さないといけないが直ぐには見つからないだろうから、一つ一つやっていこうと思う。
副領主のイマリ夫妻は、何かあった時、直ぐ対応出来るように支部で暮らして貰うとして、少し広目の部屋を用意しよう。
ミディアさんは、年頃の女性だから別に部屋とった方がいいか、メイド長をルナさんにやってもらうから、ルナさんにも1部屋
メイドも何人か雇わないといけないな、クラスメイトにも好きな部屋を一部屋ずつ、ラウサージュにも一部屋、
エマさんに1部屋とこんなものか、料理人も雇いたいけど直ぐには居ないので、見つかるまでは僕が作るか、日も落ち始めていたので料理の支度を始める。
「いけません。領主が行うなど私がしますから」
そこに現れたのは、レナだった。
「構わないだろう、誰かが作らないと飢え死にしてしまうよ」
「それなら、私が作りますから」
「それぞれ役割を与えたんだ、このくらいさせてくれ」
「そこまで言うなら…、それならお手伝いします」
レナが、てきぱきと手伝ってくれたお陰で、食事の準備が整った。
皆で食事をしたかったので、一番広い会議室の机と椅子を配置変えして、テーブルクロスをかけ食卓にした。
そして皆を呼び、全員集まったところで食事を始める。
「フォ、フォ、フォ」
「どうしたのですか、イマリさん」
「いや、こんな賑やかな食事は久しぶりでな」
確かに、いつも見慣れてしまっていたが、精霊達とアナンタは、ガツガツ品がなく食べ漁っているし、女性達は、喋りながら食べている。
貴族の静かな食事に比べると、異質に感じるだろう。
「すいません、いつもこんな感じなので」
「謝ることはない、こんなに楽しいじゃないか」
賑やかな食事が済んだ。
お酒がないのが少し残念だが仕様がない、次にお風呂へ入りにいく。
六畳位の部屋に、小さなお風呂が一つ。
とても狭い。
それに男女共用、時間帯で別けてあるようだが、お風呂は広々した物に入りたい。
これも改良しないといけいと思った。
部屋に戻ると、精霊達とアナンタが珍しく食べすぎたようで、腹を抱えて『うー、うー』唸っていた。
今日は静かに眠れそうだ。
明日は、町中を視察しようと考えていた。





