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122 憧れの人

夜になり宴会が始まる。

新しいメンバーも増えたが、お約束のセレナさんの模擬戦はしないそうだ。

セレナさんが挨拶を始めた。


「新しいメンバーを紹介するわ。

皆、もう知っていると思うけど元イザカロ国王のイマリさんと妻のウエアーさん、長女のミディアさん、そして騎士団の人達よ

街の人達も多くなりドンドン人口が増えてきています。

これも翔くんが至るところで活躍してくれているからと思ってます」


「いや、そんな事はないですよ、セレナさん」


謙遜けんそんしないの、そこでギルド本部をサンピースに移動して、ここの領主を翔士爵に任せようと思います」


皆の歓声が響きわたる。


「翔士爵、挨拶お願い出来るかしら」


「え、挨拶ですか」


「そうよ、翔くん、皆の前に出て来て」


僕は、まさか挨拶をするなんて考えてもいなかったので、戸惑いながらもセレナさんの徒なりに立つ。


「え~っと、何を話せばいいか…。

この街の領主と言われましたが、何をやればいいのか良く分かってません。

皆の力で街を盛り上げましょう。

あと、士爵を貰いましたが、今までに通り翔と呼んでください」


「翔、いいぞ」


「翔くん~」


隼人と空が叫んでいる。

住人達もそれぞれ叫んでいたが、緊張し過ぎて耳に何も入ってこなかった。


「さぁ、白銀騎士団の発展を願って乾杯~」


宴会が始まり、僕はクラスメイトとファミリの仲間で食事を食べていたが、領主となった為か多くの人達がお酒をぎにきていた。


「僕、未成年だから飲めないんです」


というとこの世界では16歳から成人になるそうで、大丈夫だからと言って次から次にお酒を注がれていく。


「翔、大丈夫か」


隼人が心配してくれている。

精霊達とアナンタは、食事に夢中で場所を移動しながら、あさっていた。


「済まない、そろそろ限界」


僕は、仲間に告げ千鳥足で宴会場のはずれにある木の下に腰かけ酔いを覚ます。

これからこの街をどうやって行くか考えていた。

街の開発ゲームなどやったが、現実はそう簡単ではなかった。

電気はないので、水、食料の確保、交通の整備などかな、住宅も足りないようだし、いろいろなお店も確保したい。

お金がいくらあっても足りないな。

あと、街役人の人選か、どうするかな。

いろいろ考えていたら、いつの間にか眠ってしまっていたようだ。


ふと気がつき、地べたに横になったまま宴会場の方を確認すると、辺りは暗闇に包まれ、人々のざわめきも聞こえない。

眠っている間に宴会が終わっていまったようだ。

『あれ』僕は思った。

木に寄りかかって寝ていたのに、枕にしている木が柔らかい。

寝返りを打つように、空を見上げるとそこには大きな胸が…。

僕は考えてみる。

これは、どういう状況なのだろうか。

明らかに、女性の膝枕に寝ている。

大きすぎる胸で顔が見えなかったので、そっと体を起こし顔を確認すると、


『セレナさん』


僕は心の中で叫んでいた。

僕を膝枕にしたまま眠ったようで、綺麗な寝顔が目の前にある。

まだ眠っているようなので、もう一度膝枕で寝ようか、それとも布1枚で隠された大きな胸を触ってしまうか、それともいっそくちびるを奪ってしまうか、いろいろ想像してしまう。


でも、それをやってしまうと嫌われてしまうかもしれない。

眠っている今がチャンスともう一人の僕が呟く。

頭の中で葛藤かっとうしている間に、セレナさんがうっすら目を開け、こちらを見ている。


残念という気持ちと、これで良かったという気持ちが混ざりあい複雑な感情になっていた。


「翔くん、起きたんだ」


「はい、どうしてセレナさんはここに」


「え、翔くん探していたら、木で寝ていたから」


「あの~、その~、膝枕はどうして」


「木の根の枕では、固そうだったから…、昔、私もお母さんに良くしてもらっていたから」


「そうなんですか、横に座ってもいいですか」


「断り入れる必要はないわよ」


セレナさんの横に座り、僕は空をながめる。


「あの~、セレナさん、僕は…」


そこまで言って、隣を振り向くとセレナさんは、また眠りについたようだった。

僕はリングバックから毛布を取りセレナさんにかけた。

僕は、セレナさんの寝顔を見ながら、


『今はまだ…、セレナさんに認められるようになった時、いつか…』


セレナさんの横で、僕もまた眠りについた。


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