120 辺境地
城門の近くまで来ると、その回りで花を植えている子供達がいる。
どうやら僕が連れてきた孤児院の子供達みたいだ。
「あ、お帰り翔兄ちゃん」
「お帰り、翔兄」
「お前達、何やってんだ」
「お手伝い、街を花一杯にするの」
「でも、城門から出たら魔物とか来たとき危なくないか」
「翔兄ちゃん、大丈夫だよ。
定期的に討伐、巡回しているし、城壁の上から監視しているから何かあったら合図があるし、すぐに討伐隊が出てくるから大丈夫」
まあ、この辺りに魔物が来ることは滅多にないから大丈夫だろう。
僕達は、城門をくぐり中へと入る。
一瞬、違う街に来たのかと思わせるくらい前と景色が違っていた。
前は、入っても森の中というイメージだったけど、今は綺麗に舗装されて色とりどりの花が沢山咲いている。
家屋もかなり増えて、人通りも多くなっているような気がする。
「お帰り翔くん」
「あ、セレナさん、ただいま」
セレナ達が、わざわざ出迎えに来てくれていた。
「遅かったでござるな」
「はい、王都まで沙羅とラウサージュを送ってきたので」
「いろいろ大変でござるな、英雄様は」
「英雄って、誰のことですか」
「もう、それは翔くんでしょう。
大活躍だったんでしょう」
「ミレナさん、そんな事ないですよ」
「話は沢山聞いてるよ」
英雄に憧れていたけど、英雄と言われると照れてしまう。
まだまだ実力が足りないので、英雄はほど遠いかも知れない。
その時、セレナさんの後ろから二人の夫婦が現れた。
「え、え、お、お父様、お母様」
そう声をかけたのは、ミディアだった
目に涙を浮かべて、夫婦の所へ突然走りだし抱きついていた。
そこにいたのは、イザカロ国の国王とその妻だった。
「どうして、ここに?」
「あら、聞いてないの?」
「何を?」
「国王がここに来ること、貴族ではないので食客としてここにすむことになったの」
「辺境地へ流刑じゃなかったの」
「ここも辺境地だし、ナーガ国の外れでは間違いない」
「詳しくは、本人に聞いた方がはやいかな」
「呼んだか」
さらに後ろからでてきたのは、ラウージュだった。





