115 バンブーテイル
朝早く、騎士団長以下10名は元国王を追うように出掛けていった。
「また、会おう翔くん」
別れを惜しみ見えなくなるまで、騎士達に見送られていた。
「さあ、僕達も出発の準備をしようか」
ラウージヤに馬車を準備して貰い、白銀騎士団に編成される騎士達は一人ずつ馬に乗って付いてくるようだ。
ラウサージュと沙羅を魔法学校に送る為に、王都経由で戻る事になった。
街の人に別れを惜しみながら、
「また来るから」
と言いながら、元イザカロ王都を後にした。
まずはバンブーテイルを目指す。
馬車はのんびりと街道を進んでいく。
聞こえてくるのは、馬の蹄の音と馬車の車輪の回転する音、静かに時は流れていく。
車輪は木でできており、石や段差を乗り越えただけで、かなりの衝撃が来る。
車が出来れば、一番良いのだが馬車の改良が必要だと感じた。
車輪にはゴムをつけるとか、バネをつけて衝撃を和らげるなど、いろいろ考えてみた。
精霊達は、姿を消して何処へ飛び去り、隼人は馬車の中で筋トレしているし、他の皆は、ウトウトして半分寝ているようだ。
あまりにも暇なので、マップを開いてみた。
回りには魔物はおらず、獣や動物がチラホラいたのが確認できた。
マップは、大分行った場所が増えて明るく表示されていたが、マップを縮小すると地図のほんの一部しかなかった。
この世界は、どこまで広がっているのだろうか、暇があれば、世界の端まで行って見たいと思った。
ウダウダしている間に、バンブーテイルに到着した。
ここから先に進みと途中で夜になってしまうので、今日はここで宿泊することになった。
ついこないだまで、敵国だった街なので出来れば寄りたくなかったが、仕方がないので城門で受付を済ませ街の中へと入った。
街の中は、普段と変わらない生活をしていた。
特別、家屋が壊されていたり、犯罪が多くなったとかないようだった。
街の人に聞いてみると、敵も味方もこの街を素通りしたらしく、被害もなかったと言うことだった。
お金にあまり余裕が無かったので、安い宿を探し、夜までまだ時間もあったので街の屋台を回り食べ歩きを仲間達でやっていた。
エマも、やっと皆と仲良く慣れたようで、女性達で賑やかに喋っていた。
僕には、まだ話しかけて来ないけど…、まあそのうち慣れるだろう。
日が落ち初めたので、宿に戻り休みをとった。
明日は、いよいよハムレットに入るが、今どんな状況だろう。
燃え盛る街を見て逃げ出したのが、昨日の事のように思える。
ハムレットも出来れば避けたいが、ここを通らないと王都には行けない。
回りのうるさい精霊達の声を聴きながら僕は眠りについた。





