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110 王都陥落

僕達は、王の確保する為に王宮へと向かっていた。

回りは混乱状態におちいっていた。

操られていたとはいえ、仲間を失った哀しみや、苛立いらだちや怒りをあらわす者、そして無気力になっている

者など様々(さまざま)な騎士達がいる。

そんな騎士達に襲われたら一溜ひとたまりもないけれど、王宮へ向かう途中に襲われることはなかった。


王宮前まで来ると、そこには騎士達の姿はなく、隣には、僕が落としたであろう巨大な隕石が地面に突き刺さっていた。

王宮にも被害があり、隕石側面の衝突による被害で、三分の一ほどが崩れかけていた。


『もう全員逃げ出したのではないか』と思ったが、地図画面を開いて見ると何人かがまだ居るようだ。


「翔くん、探すでござるよ」


「はい」


僕達は、人がいる場所を一ヶ所一ヶ所確認しながら調べていく。

中にいたのは、使用人ばかりですぐに逃げるように指示しながら進んでいく。

最後に、僕達が王と最初に謁見えっけんした謁見のに多くの人が居たので確認してみる。

王がまだ居ることを願い扉を開ける。

そこには二十人程の貴族らしき豪華な服を着た人達と、甲冑かっちゅうを着た騎士が五名いた。


僕達が扉を開け入ってきた瞬間、貴族達にざわめきが起こり、バラバラでいた騎士達が前に出て来て、僕達と対峙たいじする形となった。


「侵入者じゃ、早く始末するのじゃ」


命令を下したのは、王の席に座っていたイザカロ国、国王イマリに間違いなかった。


「私は総団長のカシマという。

操られていたといえ、我が国王に危害を加えることを許す訳にいかない」


「戦う騎士団は、お前達しかいないでござるが、戦うでござるか」


「国王の為に」


「ムラサメさん、僕も手伝います」


「大丈夫でござるよ、翔くん。

翔くんばかり働かしていたら、私の立場がないでござるから、ここは任せるでござる」


そう言うとムラサメさんは両手にクナイを持ち構える。

騎士達は、一斉にムラサメさんに襲いかかるが剣を振り下ろそうとしただろうか瞬間、ムラサメさんの姿はなく、騎士達の後ろに移動していた。


「まず一人でござる」


右端にいた騎士が、剣を落とし無言で倒れた。

凄い、全然見えなかった。

僕との打ち合いの時は、かろうじて見えていたのに…、僕の時はまだ手加減されていたということか、まだまだ足元にも及ばないのか。


ムラサメさんが仕掛ける。

至るところに残像を残しながら、騎士達の回りをジグザグに走っている。

遠くから見ているので、所々(ところどころ)、何とか分かるが間近にいる騎士達は全然見えていないようで右往左往している。

そんな中、騎士達は一人、また一人と倒されていく。

最後に残ったは、団長のカシマだけだった。


「あとは、お主一人だが、どうするでござるか」


「おのれ、こうなれば一人でも道連みちづれにしてやる」


そう言うと僕達の方に向かってきた。

ムラサメさんが、追いかけるのかと思いきや、その場にとどまり武器を片付けた。

まるで僕が倒せと言っているようだった。

僕は、トンファーを出して構え、スキル『疾風迅雷』使う。

カシマが剣で突き攻撃をしてきたので、剣を片方のトンファーで弾き、もう一方のトンファーで剣を持つ腕をたたいた。

『ゴキッ』腕が折れた音がした。


カシマは激痛で剣を落とすが、反対側の手で殴りかかってきたが、僕はそのパンチを交わし、腹に一発そしてそのまま後ろに回り背中に一発叩いた。


カシマは苦しみながらも僕に向かって後ろ蹴りをしてくるが届かず、そのまま倒れ込み動けなくなっていた。


「これで守る騎士達は居なくなったでござるよ。

皆、大人しくするでござる」


そう言うとロープを渡され、これで全員縛しばるように言われた。

まずは、騎士達から死んではいないようなので、特に頑丈に結び武器を取り上げた。

そして貴族達を縛っていく。

その中から一人の女性が前に出てくる。


「私達を守ってくれた騎士様達に、せめて回復魔法を使いたいのですが」


年齢は、僕と変わらないくらいだろうか、黒く長い髪、目は大きく顔は可愛い、綺麗なドレス姿で何処か気品溢きひんあふれた感じの女性だった。


「どうするでござるか」


「どうするって」


「翔くんが決めるでござる」


「どうして僕が」


「この都市を制圧せいあつできたのは翔くんのお陰だから、翔くんが決めるでござる」


「そんな無理やりな」


僕は悩んでしまう。

回復させて良いものだろうか、回復させたらまた暴れだすかも知れないし、そのまま放置すると死んでしまうかも知れない。

考えていると、女性は嘆願たんがんするような眼差しで見つめていた。


「ん~、分かった。許可するが変な気は起こさないでくれ、これ以上暴れだしたら国王、その他の者の命に関わると思ってくれ」


「分かりました、では早速さっそく回復させて頂きます」


女性が回復させている間、僕達は貴族達を縛っていった。

最後に国王、


「わしは悪くない、騙されただけなんだ。

何とか取り次ぎをお願いしたい」


「それは、ナーガ国の国王様が決めることでござる。

それまでは、地下牢に入ってもらうでござる」


あの地下牢か、僕は脱出できず過ごした地下牢を思い出したくもなかった。


「回復魔法、終わりましたわ。

私も一緒に牢屋に入りますわ」


「偉く気品があるようでござるが、あなたの身分は何でござるか」


「私は、この国の第1王女のミディアと言います」


「王女!」


気品があると思っていたら王女なんて、でもそんなに上から目線ではなく、普通に話せる好印象な女性だった。


「王女でござるか、そうでござるな、

ミディア王女以外を牢屋に入れて、王女は翔くんが人質として預かるでござる」


「どうして僕が」


「年齢は変わらいようだし、翔くんは女たらしだから」


「変な誤解を招くような事は言わないで下さい」


王や騎士、貴族達は、それぞれ王女は渡さないとか、この命にかえても貴様には渡さないなどと騒ぎだした。

そこへミディア王女が、


「皆が助かるなら、この身を預けます」


と言ってくれたお陰で、少しは騒ぎが収まった。

皆を牢屋に連れて行き、鍵をかける。

何かあれば、ミディア王女の命はないと念を押した。

護衛としてゴーレムを4体出して防護をさせた。

そして僕達は、この国が陥落したこと都市の中を歩きながら、ミディア王女と伝え回った。

その頃、セレナさん達もゴブリン部隊を殲滅したらしく、こちらへ向かっているそうだ。

隼人達にも伝えたが、まだこの国を把握してないから危険と判断されてサボの街に留まるように指示された。

ナーガ国の騎士達が来るのは、明日になるだろうから、それまではゆっくり出来そうだった。

その時、僕のお腹の音がなった。

『グゥ~』


「翔くん、お腹すいたでござるか」


「そういえば、朝以来何も食べてないですね」


僕達は街の食堂を探していた。

僕が壊した建物の場所を通ると、建物を修理している人達に出会った。

思わず僕は壊した事を詫びていた。


国同士くにどうしの戦いなんで、仕方ないさ、気にするな」


と言ってくれたので多少は気が楽になった。


「変わった人ですね」


とミディア王女が言うと


「翔くんらしいでござる」


とムラサメさんが返す。

この国の騎士達が遠くから付いてきているが、王女がいるので手出し出来ないでいた。

人質の形となったが、抑制よくせいが効いてよかったかも知れない。


一軒のお店が開いていたので、そこで食事となった。

精霊達も人の姿に戻り、王女と一緒に食べ始める。

店の人は、王女でも敵国の人でも客は客といって気にしていないようだった。

王女は、庶民の食事に驚いていたが王宮で食べる豪華な食事よりも、こちらの方が美味しいと満足していた。

牢屋にも食事を運んでくれるようにお願いした。

宿をどこで取るかだが、王女が王宮の方が安全だし皆で泊まれる部屋があるから案内してくれるということで今夜は王宮で泊まる事になった。

王宮の一室で来客時に大人数が泊まれるように大部屋が用意されていた。

ベッドは20、充分じゅうぶんこの人数で泊まる事ができる。

大浴場もあり、セレナさん達が来るまで優雅ゆうがに暮らせそうだ。

念のために王宮の回りにゴーレムを10体と防護魔法を施した。

食堂の人は、通れるように許可をして、あとは疲れたので、まずお風呂。

今日1日、朝から精神的にも肉体的にも疲れた。

一人、お風呂に駆け込み湯船に浸かる。

お風呂って、久しぶり入るような気分だった。

この広い100人は入れるような浴場に、僕一人、のんびり入っていると『ガラガラガラ』ドアの開く音が聞こえた。


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