始まりの街
周りは瓦礫だらけで道などなかったが、自分の親しんだ街、故郷だからなのか感覚で分かる。
学校から歩いて20分の所に僕の家はあった。
今の身体能力で行けば1分もかからないだろう。
あっという間に自宅に着いた。
普通の白い二階建ての家。
庭には、花見が出来ように桜の木があった。
その桜の木が見える二階の角部屋が僕の部屋だった。
だが、今、目の前にあるのはデコボコとした地面があるだけ…、いや、50センチ程の岩が置いてあった。
最初は普通の石かと思ったが、ここにわざと誰かが置いたのか、石には文字のような物が見えるが、ここに置かれてかなりの年月が過ぎた所為か、風化して何が書いてあるのか読めなかった。
多分、僕宛に書いた物だと信じたかったが、今ではもう分からなかった。
僕がこの未来へ飛んだ時、家族は無事だったろうか?
いきなり異世界の種族が現れて混乱したのではないか?
この世界にも人間は残っているから、お互い有効な関係を持って一緒に住み始めたと思いたい。
「もう〜、さっきから何なのよ」
ミランダが追いつき文句をたれている。
「ごめん、ごめん、つい確かめたくなって」
「ん?ここに何かあったの?」
ミランダは辺りを見渡すが、普通の人が見たらただの空き地だろうな。
「多分、ここに僕の家があったはずなんだ」
「えっ、ここに?
ここは千年も前から街が無くなって、それから…」
ミランダは僕の顔を見て続きを話すのを止めた。
僕がどんな顔をしているのか、自分でも分からなかったが、ミランダは雰囲気で察してくれたのかも知れない。





