始まりの地
仕方ない。
連れて行くしか無さそうだが、この土砂降りの中、連れて行けばビショ濡れになるのは間違いない。
水も滴るいい女。
思わずずぶ濡れのミランダを想像してしまう。
服が濡れ身体にピタッと吸着し、身体の線があわらになる。
おまけに服が透けて…。
いやいや駄目だろう。
ついつい変な想像をしてしまう。
そのまま連れて行くわけにもいかず、ミランダにも防護魔法を施す。
「凄いね、雨を弾いるわよ」
「これなら土砂降りの雨でも大丈夫だろう」
「でも、周りはまだ暗いわよ」
確かに、土砂降りの雨の為、視界も悪いし、空の上の巨大な雨雲の所為で、まだ昼間のはずなのに薄暗く辺りが見えない。
それならばと『ライト』の魔法で辺りを照らすが、周囲3メートル程しか明るく照らす事が出来なかった。
マップ画面では、敵は居そうに無かったが、これでは足元が見づらく探検どころでは無い。
「明るくなってから出直すか…」
「あら、多分、大丈夫よ」
「えっ、どうして?」
「もう天竜族の里は動き出しているから」
僕は上空を見つめるが、真っ暗で動いているのか、全く分からなかった。
「ほら、見て。向こうの方」
ミランダの指指す方向を見ると、地上と空との切れ目だろうか?
光が少し差し込んでいた。
やがて、その光の割合は大きくなり、まるで闇を追い払うように明るくなっていた。





