天竜族の里
「あの〜、ついでに僕も異空間魔法をここに繋げたいのですが、繋がらないのですが許可が必要ですか?」
「天竜族の里に繋げられるのは、外部からの侵入を防ぐ為にも天竜族の血筋の者しか入れないのだ」
「そうですか…」
「ウム、そうだな。
娘も頼む事だし、方法はなくもない」
「本当ですか!」
「だが、ここに繋げてどうしようというのか、理由を聞きたい」
そう言われて、何故ここにDルームを繋ぎたいと思ったのか?
自分でもよく分からなかった。
何の為だろう。
隼人がお宝を狙う為?
いや、狙うも何もお宝なんて見当たらないし、見た感じ有りそうもない。
この風景が気に入ったから?
確かに古き良き時代の風景に心を打たれたが、わざわざここに来なくても、Dルームにこの景色を作ってしまえば良いことだし。
あとは…、何も思い浮かばない。
別に繋ぐ必要はないか。
「やっぱり良いです」
「自分から言い出して何故止める?」
「ここに繋いで何をやりたいのか自分でもわからないからです」
「それが答えか?」
「はい」
長は目を閉じ暫く黙ったままだった。
その横では娘のミランダが何かを気にしているようで、長からの言葉を待っていた。
「良かろう、少し待て」
あれ、いつもならメイドを呼びつけるのに、自ら奥へと動いて行った。
僕とミランダは、そのまま里を出る訳にもいかず、長が戻って来るのを待っていた。





