10 戦闘について
「え~っと、まあ、それぞれ取り柄はあるはずだから頑張ってね。
あといずれスキルも覚えていくはずだけど、全て覚えようとしても全ては覚えられないのでよく考えて習得していくように。
あとの詳しい事は、隼人くんに聞いてね。
明日から任務についてもらうけど、そうね...、誰にでも出来る食料調達に行ってもらおうかな」
セレナさんは、細かく説明するのが苦手なのか、それとも面倒くさいだけなのか、説明は隼人に投げ、とっとと歩いて行く。
僕は、落ち込みながらも皆と一緒に長老宅を後にした。
『この異世界に来てまで平凡だなんて、あんまりじゃないか!
せめてチートな能力の1つでも付けてくれればいいのに、普通、異世界転生したら何かしらの能力付くだろう!』
僕はそんな事を思いながら、平凡な自分に情けなくもあり、それに対して誰かにあたる事も出来ずに苛立っていた。
その頃、誰も居なくなった長老宅では長老リーフが呟く。
「過去に、この世界を知り尽くした人物が、スキルのすべて覚えることができ、大地の声を聞き大地と共に戦ったと記述が残っていたがまさかね~」
そんな事とは知らないまま、僕は木の根元のドアを開けて外に出た瞬間、何か光る物体が僕の目の前を横切った。
「おっと」
いきなり目の前に現れたので反射的に避けたが、お陰で少しふらつき倒れそうになった。
「どうした?」
「今、何か横切らなかったか?」
「私には見えなかったけど、気のせいじゃないの?」
気のせいか?それとも何かに反射しただけだったかもしれない。
『気の所為か...』と自分に納得させながら、兎に角、今は自宅に戻り、隼人に戦い方について教えて貰わなければ、今の状態じゃ何も分からないからな。
途中でセレナさん達と別れ、僕達は自宅に帰って来た。
そして自宅に戻ると早速、隼人の講師がリビングに皆を集めて戦い方の講習が始まった。
「それでは、いろいろ説明していくぞ、まずメニュー画面開けてくれ。
意識を集中して考えるだけで開くはずだから」
僕は、慣れる為と面白半分、何度もメニュー画面を開け閉めしていたので、すぐにメニュー画面は開けたが、他の皆はメニューを開くよう考えても、なかなか難しく開けないようだった。
「最初は出来ないかも知れないけど、慣れると簡単だから、これが開けないと先へ進めないから頑張れよ」
「開いた!」
「やっと開いたよ」
「え~~、ちょっと待ってよ、開けないんですけど」
そして全員が開いたのを確認すると、次へと進む。
メニュー画面を開くと、そこにはいろいろな項目がある。
「画面開いたら項目が出てると思うけど、まず自分の職業、最初は探索者になってる。
そしてレベル、ステータスなどあるけど、まずマップ機能は傭兵団のメンバーや、認知している敵、場所など確認できる。
電話機能やメール機能もついている」
スマホでゲームやってるみたいと、思うのは僕だけだろうか。
「相手の名前、レベルも確認出来る。
これが出来るのは相手の名前がわかった時点、ただ、相手のレベルが高過ぎると表示されないから。
ちなみに俺はレベル12で冒険者になっている。
自分が剣士になりたいのなら剣をずっと使って、剣の規定値を越えると剣士の職業を覚えられる。
魔法剣士なら、魔法と剣を規定値まで上げないといけない。
あと職業別にスキルがあるが、これはレベルアップ毎にポイントが入るから、それを振り分けて覚える。
あとスキルは、お店でも買えるがレアなスキルほどバカ高い。
スキルポイントは限りがあるから、スキルは良く考えて覚えないといけない。
無駄なスキルを取らない事が大事だけど、レベルが低い内は必要な物もあるからな。
あとスキルを発動させる場合、動作や呪文などする必要がない。
これは俺達、放浪者だけ特別で考えるだけで、メニュー画面の魔法やスキルを選択するだけで発動させることが出来る。
だからメニュー画面は何時でも直ぐ開けるように練習していてくれ。
因みに俺は魔法やスキルを発動する時、その名前を言いながら発動する。
別に名前を言う必要は無いけど、相手に何の攻撃が来るかと教えているような物だし、だけど、名前を言った方がカッコいいだろ、そう思わないか?
「......」
思わないのか...、まあ、いいさ次にいく。
魔法やスキルはマナポイントを使って発動させるから、マナの残りは気をつけて、使い過ぎるといざというとき使えなかったり、自分の魔力が無くなると目眩や吐き気、意識がなくなり倒れる可能性があるからな。
魔法やスキルは一瞬で出来るから、放浪者は他の者達から比べて脅威に感じるだろう。
そんな事もあって放浪者は差別や得体の知れない者として嫌われているから、まあ、この村ではそんな事はないけどな、他の街に行った時とか特に気を付けてくれ。」
「隼人、マナってなんだ?」
「翔、それはいわゆる魔力と呼ばれる物だ。
人によってマナと呼んだり、魔力と呼ばれたりするみたいだ」
「なるほど」
「それと自分を中心にファミリーやペット、奴隷などを登録して連れて行くことも出来る。
ファミリーは、家族のようなもので手助けしてくれる者をいう、戦闘系の職業の者を入れると、かなり戦闘が楽になるはず、あとは回復や補助、本当にメイドを雇いファミリーに入れて独占する奴なんかもいるな。
ペットは、戦闘系から愛玩系など動物達、奴隷はそのままだな、強制的に指示される者の事をいう。
それぞれ仲間に出来る数は人によって違って、1匹も出来ない人もいれば10匹も出来たりね。
ペットの種類はいろいろあって、幻獣、魔獣、獣、精霊、竜属はなかなかいないか...。
契約出来ればほとんど仲間にすることが出来る」
あといろいろ説明はあったが、一度に覚えきれないだろうから、とりあえずレベル上げしないと始まらないな、長々と話をしていたから外はもうすぐ日が暮れそうだ。
そんな時、ドアをノックする音がする。
ドアを開けてみると、そこにはセレナさんがいた。
「は~い、もう話は終わったかなぁ、今から歓迎会するから広場に集合よ。
これは強制だからね」
と言って去っていく。
「歓迎会だって、歓迎してくれるってうれしいね」
と言って、何気なく隼人の方を見ると固まって青ざめていた。
何か、凄く嫌な予感がするのは気のせいだろうか。





