楓花VS葵Ⅱ
午前中の修羅場デートは終わり、凱斗達はショッピングモールの中にある、フードコートで昼食をとっていた。
「楓花、葵、昼からどこに行くんだ?」
午前中は二人の下着を選び、本屋へ寄った。
(ラノベ、買いたかったな・・・)
「私は映画を見たいな、凱斗と」
「葵、凱斗は私の物、だから二人きりは絶対ダメ」
「落ち着け、二人共、ここは店だぞ」
葵と楓花を何とか落ち着かせ、ショッピングモールにある映画館へ向かった。
「葵は何の映画を観たいんだ?」
「えっとねー、あった、これ」
葵が観たい映画というのは、恋愛物らしい。
「タイトルは、私はあなたを独占したいのであなたに近づく女は殺します」
恐ろしいタイトルだった。
「な、なぁ葵、ホントにこれ観るの?」
こんな修羅場確定の映画を観て胃は持つだろうか。
「この映画、面白そう」
「マジでこれ観んの!?ねぇ⁉」
この時にはもう遅かった・・・
「楽しみね」
凱斗の両隣の可憐な少女はわくわくとしている。
「始まった」
辺りが暗くなり、劇場の観客がスクリーンに注目する。
この映画のストーリーは幼馴染み青葉は主人公海斗に思いを寄せていて、二人は同じ高校に入学し、そこで、従妹の凛花に出会う、凛花は海斗の家に居候することになり、青葉と凛花の愛が暴走するというストーリーである。
(どっかで聞いたことあるストーリーだな)
しかもこの映画は恋愛物なのだが、終盤になるとグロテスクなシーンが頻繁に出てくるようになる。恋愛物だけどグロいという、意外な組み合わせが反響を呼んでいる。
(映画は面白いんだけど・・・)
凱斗の両隣の少女が腕を強く組んでいる。
(・・・痛い!)
楓花と葵は映画が終わっても腕を絡ませていた。
「最後に、ゲームセンターに行きたい」
「お、いいな行こうぜ」
「凱斗、何か欲しい物はある?」
「楓花はUFOキャッチャー上手いのか?」
「任せて」
「じゃあ、このポテトせんべいで」
凱斗が指名したのは、スナック菓子だ。
「わかった」
楓花の顔が真剣になり、UFOキャッチャーとにらめっこ状態になる。
「取れた」
「まじか・・・ホントに取った・・・」
楓花はドヤって顔をしている。
「取ったから、ご褒美、頂戴」
「ご褒美?」
「そう、ご褒美」
「何をすれば良い?」
思いがけない発言に戸惑う凱斗。
「頭を、撫でて欲しい」
言われる通りに楓花の頭を撫でる。
「えへへ」
楓花はご満悦の様子だが、葵はと言うと、
「ぐぬぬぬ」
不機嫌であった。
ショッピングモールを出ると辺りは真っ暗だった。
「凱斗、今日は楽しかったよ、ありがと」
どうやら、葵は満足してくれたようだ。
「ただ・・・」
「?」
「できれば、二人が良かったな」
「それは、私も同意見」
「次からは善処する・・・」
こうして修羅場デートは幕を閉じた。
どーも、ミカエルです。
なんと、この小説を公開して3日目で一作目のブックマークを越えました。嬉しいのか悲しいのか
見てくださってる方本当にありがとうございます。これからもよろしくお願いします。