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高校入ったら日常が非日常に変わった  作者: 天使長ミカエル
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香澄の隠れた趣味と二人きりの夜

楓花が振り向かせると、告白して3日が経った。

この3日間、楓花は凱斗を振り向かせようと、朝は凱斗の腕に体を絡めながら登校。

昼は凱斗の為に弁当を作ってあげて、放課後も基本的に一緒に帰る。

と、ここまではいつもとほとんど変わらぬ一日なのだが、夜は凱斗の布団に潜り込み、朝起きたら凱斗の横にはほぼ全裸の楓花が寝ている。

そして、それをみた舞冬は楓花を凱斗から引き剥がそうする朝から凱斗の一日は始まっていた。

もちろんそれは4日目もなんら変わらなくて・・・。


「凱斗、絶対に振り向いちゃダメだからね?わかった?」


舞冬の凍えるような一言にはい、としか言いようがない凱斗は首を縦に振って、家の扉を開けた。

そっと後ろを振り向くと物凄い視線で見ている舞冬がいて、慌てて視線を前に戻した。

それと言うまでも無く、横には凱斗にべったりの楓花がいる。

そして家の前には物凄く不機嫌な葵と、今日は香澄もいる。

ちなみに香澄も不機嫌である。


「ねぇ楓花、最近凱斗に近づきすぎじゃない?」


葵が楓花に言うと楓花は淡々と凱斗を振り向かせる為、と言いその言葉にカチンと来たのか葵と香澄も凱斗にくっつきながら登校した。

無論、凱斗の腕は二本なのでその二本の腕に誰がくっつくか争っていたのは言うまでもない。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


男子からの憎悪の視線を浴びながらやっと教室に到着し、机に突っ伏した。

教室に入ると楓花達は女子達に混ざって喋ったりと普通の女子高生なのだが、凱斗から目には普通の女子高生には見えなかった。


そして机に突っ伏したまま、予鈴が鳴った。

重い体を立て直し、凱斗はいつも通り勉強に励んだ。




時間は過ぎて行き、昼休み。

教室では購買で買ってきたパンを食べている生徒や弁当を食べている生徒が色んな会話をして楽しんでいた。

凱斗は楓花、香澄と一緒に教室で昼ごはんを食べる事無く、外のベンチで舞冬に作ってもらった弁当を食べていた。

昨日はどっちが凱斗の弁当を作るかで、一時間程楓花が抗議した結果最初から作る気満々だった舞冬が作ることになった。

一方、楓花はと言うと自分で弁当を作って凱斗の横で食べていた。

凱斗は自分で弁当を作る楓花に感心していたことは言うまでもない。

ちなみに葵は友達に相談したい事があるから教室で昼食をとっている。

紅葉は風紀の仕事が忙しいらしく、速攻で昼食をとり、自分の仕事をしている。


「凱斗、明日は私が弁当を作るから楽しみにしてて」


楓花がそう言い、凱斗が楽しみにしてるよ、といった瞬間、香澄からの視線が冷たく感じた気がしたがそれは気のせいだと信じておくことにした。


「私だって凱斗君に私の料理、食べてほしいな・・・・」


「香澄も料理できるのか?」


香澄の昼ごはんは弁当ではなくパンだったら為、凱斗はこの質問をぶつけた。

たまに弁当の時もあるが、それは香澄の母が作っていると言っていたので香澄が作った弁当は見たことないのだ。


「作れるには作れるんだけど・・・」


「「?」」


「朝起きれないから、作る時間が・・・・」


料理を作るのも難しいが香澄にとっては早起きの方が難しいようだ。

この後に今もお母さんに起こしてもらわないと無理、という事を顔を少し赤らめながら言う香澄の事を可愛いと不覚にも思ってしまった。


「夜寝るのが遅いのか?」


ちなみに凱斗は夜寝るのが遅い為、起きるのも早く無い。

香澄もその可能性があるかも、というのが凱斗の考えだった。


「うん、皆よりは遅いかも」


「じゃあ、少し寝るのを早めればいいんじゃないか?」


「それはちょっと・・・」


寝るのを早くすればいいのだが、どうやらそれは不可能らしい。


「まぁ、俺の本音を言うと香澄の作る料理が気になるだけなんだがな」


「そうなの?」


「なっ・・・!」


香澄が少し照れながら聞く香澄と声を上げる程に驚いている楓花。

言うつもりも無かったセリフをポロッと出してしまった凱斗もあっ、という表情をしている。


「そっか、凱斗君は私の料理食べたいのか、そっか・・・」


香澄の表情は照れながら嬉しそうな表情をして、ニコニコとしていた。

それとは対照的に楓花は下を向いて、ブツブツと呟いていた。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


そしてその翌日。



「凱斗君、作ってきたから・・その、食べて?」


このセリフを二人しかいない空間で言うなら良いだろう、だがこのセリフを教室で言うのは禁忌すぎだ。

静まり返る教室、無数の剣のような視線が凱斗を貫くように刺さっていく。

女子に言われるだけでも狂気の視線は浴びせられるが、相手はこの学校ではかなり人気のある香澄なのだ。

男子達にとっては万死に値する程の行為をした凱斗を視線だけで殺そうとしている。

背中にひやりとした汗が流れたのを感じた凱斗はすぐさま香澄の腕を引き、いつものベンチがあるところに逃げた。



「教室で何て事を言うんだ・・・死にかけたぞ・・・」


息を切らしながら肩で息をする凱斗。


「さっきみたいに大っぴらにする事で凱斗に寄り付く女の子を振り払う事ができるかなって思って・・・」


照れながら言う香澄を見て、思わず赤面してしまう。


「これからは、できるだけ人の少ない所で言ってくれよ」


「うぅ、わかった・・・・じゃあ、その食べて?」


香澄といる時が一番赤面している気がしてならない凱斗。


「あぁ、いただくよ」


香澄から弁当を受け取り、弁当の蓋を開けるとなんとも美味しそうな具が詰まったおかず達がいて、自然と箸が進んでしまう。

凱斗が箸先を向けた先は、キラキラと輝く唐揚げ。


「じゃあ、この唐揚げを・・・」


唐揚げを一つ、口の前まで持ってると、唐揚げの香りが凱斗の鼻孔をくすぐる。


「いただきます」


唐揚げを一つ、口の中に放り込む。

次の瞬間、口内に広がる肉汁が口の中を包み込んだ。


「うまっ!」


「ほんと!?良かった・・・」


香澄はフゥと息を吐き、良かった、ともう一度呟いた。

ちなみに凱斗は香澄の安堵した表情よりも予想以上に美味だった唐揚げに夢中である。


「弁当ありがとな、すげぇ上手かったぜ」


と、凱斗は一つあることに気がついた。


(今気づいたが、目の下にくまができてる・・・この弁当の為に・・・)


「ん?どうかした?」


「あ、いや・・・」


くまができる程自分の為に弁当を作ってくれた事に凱斗は赤面してしまう。


「また時間が余ってたら、作って上げるからね」


「あぁ、頼むよ・・・っ!」


香澄の方を向くと凱斗の目にはいったのは、香澄の後ろにいる少女。


「凱斗、何してるの?」


冷たく言い放った少女の名は楓花。

楓花の視線はとても冷たく、深海のようだ。


「浮気は、ダメ」


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