葵は甘えたいⅢ
午前の授業が終わり、昼休み。
凱斗は珍しく自分で作った弁当を教室で食べていた。
舞冬と楓花は作ってあげる、と言っていたのだがさすがに舞冬と楓花に頼ってばかりではダメだ、と思い自分で作ったのだ。
「凱斗、隣良い?」
椅子を持ってきた葵が弁当箱を持って凱斗の机の方に来た。
「葵か、いいぞ」
特に断る理由も無く、葵と昼食をとることになった。
ちなみに楓花はクラスの女子と恋バナで盛り上がっている。
「きょ、今日帰り付き合って欲しいんだけど良いかな?」
「ん?いいけど、どこ行くんだ?」
無駄に顔が赤い葵に問うと、葵は更に顔が赤くなった。
「ケーキ屋さんなんだけど・・・」
「あぁ、別にいいけど・・何でそんなに顔が赤いんだ?」
ケーキ屋に行くだけでそんなにも赤面するのは意味がわからない。
「カ、カップル限定のケーキを買いたいから・・・その・・彼氏になって、欲しいの」
近くでクラスの女子と話していた楓花の表情が無表情になり凱斗の方へ歩いていった。
「葵、今のどういうこと?」
冷えきった冷たい声音で葵に訪ねる。
「お母さんの頼みで凱斗をか、彼氏役にしてケーキを買ってきてほしいって言われたから、放課後、凱斗は私のか、彼氏ってこと」
「そう、なら私が凱斗の彼女になって買ってきてあげる」
(変なことにならないといいが・・・)
胸の中で大きなため息をつく凱斗であった。
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結局昼休みの間ずっと口論をしていた二人を凱斗がなんとか止め、葵の彼氏になりケーキを買いにいく事になった。
楓花は監視役となり、凱斗と葵を監視することになった。
「この商店街の少し外れにある所よ」
「そこにはあんまり行ったことないな」
葵が指差す先のケーキ屋を見て凱斗言った。
「だ、だから、この辺から手とか繋がないと・・・」
顔を赤らめながら凱斗の手を握った。
葵のすべすべとした柔らかな手に少し緊張してしまう。
「じー・・・」
・・・後ろからとてつもなく視線を感じる。
予想はしているが、あえて凱斗は首を後ろに向けると案の定、電柱に体を隠しながら顔と右肩が少し出ている状態の楓花がこちらをじっと見つめていた。
その瞳は虚ろで何かブツブツと喋っている。
「じゃ、じゃあ行こうか」
「う、うん」
凱斗と葵は緊張しながらもカップル限定のケーキの為、ケーキ屋に入った。
「いらっしゃいませ~」
ケーキ屋に入ると中はカップルだらけで凱斗と葵とっては少しいずらい空気だった為速攻でレジに行きお目当てのケーキを注文した。
「カップル限定のケーキですね、少々お待ちください」
売り切れかと思ったがまだ在庫はあったようだ。
こんなに短い時間だったのに脱力感が凄かった凱斗であった。
「現在、カップルには特別に写真を撮ることができますが、撮りますか?」
奥からカメラを持った店員が来て凱斗達に聞いてきたけど
「葵、どうする?無理にとは言ってないから撮らないならそれで・・・・」
「撮ります」
葵は写真を撮るのが嫌いな為、断るかと思いきやまさかの回答に驚く凱斗。
「良いのか?写真撮っても」
「いいの」
なぜ撮ろうと思ったのか謎だったがあまり気にすることは無く、凱斗は葵の横に立った。
「じゃ、いきますよー」
カメラのシャッター音と同時に葵は少し背伸びして凱斗の頬にキスをした。
「なっ・・・・」
これにはカメラマンの人も周りの客もびっくりしていた。
もちろん一番驚いたのは凱斗だが。
「きょ、今日のお礼よ」
顔を真っ赤にした葵は物凄く可愛くてこんな子がキスをしてくれたと再認識した瞬間、凱斗の顔も真っ赤になり、二人赤面しているところを撮られたのは言うまでもない。
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「きょ、今日はありがとね」
家に着くまでろくに喋ることもできなかった二人は葵の家の前で別れた。
「凱斗」
後ろから冷たい声の主、楓花が凱斗の背中に抱きついた。
「凱斗、私にもキスして」
「い、いや、なんでだよ」
後ろを振り向くが楓花は背中に顔を埋めている為、表情が伺えない。
「凱斗が他の子と仲良くしてると凄く胸が痛いの、苦しいの・・・だから凱斗がキスされてるのなんか見たら・・・私・・・」
いつも通りの声音だが少し泣いているのか、所々泣いているようにも聞こえる。
「楓花・・・」
「だから私、決めた」
凱斗の背中から離れ、涙を拭いた。
「今から本気で凱斗に振り向いてもらう」
告白のようなこのセリフに赤面しているのか、それとも夕焼けのせいで顔が赤くなってるように聞こえるのか、でも赤面している楓花はとても綺麗だった。
大変遅れました、ミカエルです。
物語も中盤がそろそろ終わり、終盤です。
書きたい話沢山あるのですが、何せ五作同時なんできついんですよね。
それに今年の4月から高校生なので今より忙しくなるので更新頻度が・・・・。
最後まで見ていただけると嬉しいです。




