葵は甘えたいⅡ
葵と楓花に冷たい視線を向けられながらも、学校へ到着し、校門をくぐると前に香澄がいた。
「香澄、おはよう」
凱斗が後ろから香澄の名を呼ぶと振り返り、素晴らしい笑顔で、
「凱斗君、おはよう」
笑顔で挨拶した香澄は左右にいる楓花と葵を見た。
「今日はなんだか凱斗君との距離がちかい気がするんだけど」
葵はもちろん楓花は凱斗の腕に身を委ねている。
「凱斗君、後でお話しようね」
一言冷たい声音で言った香澄は歩を進めた。
「香澄怒ってる、絶体怒ってる・・・俺何もしてないんだが・・・」
凱斗がそう言うと葵はハァとため息をついた。
「全然わかってない・・・」
葵は小さな声で呟いた。
教室に着き、ようやく離れてくれた楓花は自分の席に座り本を読み出した。
「そうだ、職員室からノート持ってこないと」
急いでカバンを下ろし、凱斗は職員室に向かった。
「失礼し・・・」
「失礼しました」
凱斗が扉を開けようとすると、職員室の扉が勝手に開いた。
「あ、旦那様」
職員室の扉が開くとそこには凱斗の婚約者(仮)である紅葉がいた。
「あぁ、紅葉か」
職員室でノートを返してもらい、外で待っていた紅葉と一緒に教室まで向かっていた。
「そういえば、教室から見えたんだけど、何で今日はあんなに距離近かったの?」
香澄と同様、氷のような冷ややかな声で凱斗に尋ねた。
「今日の楓花、なんか変なんだよなぁ」
「それって、旦那様が何かしたからじゃないの?」
紅葉の言葉で昨日今日であったことを思い出す。
「全員が帰ったあと舞冬姉と晩飯準備して適当に会話して、風呂に入って、舞冬姉と寝て・・・・あ・・」
証拠を見つけ、あ、という表情をしている凱斗と今にも爆発しそうな紅葉。
「一緒に寝たの?朝まで!?」
紅葉の表情は泣きそうな表情をしながら、凱斗の肩を揺らした。
「香澄との一件で何か一つ従うやつで舞冬姉の願望が一緒に寝るだったんだから、仕方ないだろ?」
「でもっでもっ!それでも嫌、旦那様が他の子と一緒に寝るのはやだ!」
凱斗の胸板にポカポカと拳を振るう紅葉。
この後、ホームルームに二人とも少し遅れたのは言うまでもない。




