葵は甘えたい
今回は短めです。
チュンチュンと小鳥のさえずる音が窓から聞こえ、凱斗は少し目を開けた。
横を見ると案の定舞冬が寝息をたてながらまだ寝ている。
「んぅ・・・・」
舞冬が寝返りをうち、凱斗に抱きついた。
抱きつかれた瞬間、柔らかい感触が凱斗に当たり、思わず赤面する。
「ちょっ!?」
急いで引き剥がそうとするが、舞冬は意外と力が強く全然離れない。
「凱斗ぉ・・・・」
と、更に舞冬が距離を詰めてきて、胸が更に腕に押し付けられる。
凱斗の腕は舞冬の胸の谷間にセットされその中は柔らかくてそれでいて温かい、そんな感触だった。
(あぁ、ここが楽園か・・・・って違う違う!この胸に埋まっている腕をなんとかしないと)
引き抜こうとしても舞冬の腕が凱斗の腕をガッチリとホールドされている。
「ぬ、抜け出せねぇ・・・」
と、舞冬が可愛らしいあくびをしながら目を開けた。
「あ、凱斗おはよ」
ニコッと笑顔で挨拶するが凱斗の腕を離すそぶりは見せない。
「あの、舞冬姉?腕が抜けないんだが・・・」
「こうやって二人きりで入れるのは最近なかったんだし、いいじゃない」
そう言うと凱斗の体に体をスリスリと擦り付けた。
瞬間、凱斗の部屋の扉がガチャっと開いた。
「・・・・楓花」
入ってきたのは二人を見て、明らかに不機嫌にな表情になった楓花だった。
「そんなに凱斗に近づくの、ダメ」
そう言って楓花は舞冬から凱斗を奪還した。
「た、助かった、ありがとな楓花」
そう言うと楓花は凱斗を睨み、
「凱斗、なんでデレデレしてたの?実の姉になんで嬉しそうだったの?教えて」
「い、いやデレデレなんて・・・」
凱斗は答えるが、楓花はご立腹のようだ。
「私だけを見てればいいのに」
「?何か言ったか?」
「何でもない」
そう言い残し、楓花は一階に降りていった。
「なんか、あの子ちょっと病んできたわね」
最初は無表情な子ってイメージがあったけど今は少し病み要素が足された気がしてるのは凱斗にもあった。
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「おはよ、凱斗」
楓花と学校に行く為、外に出ると凱斗の幼馴染み、葵がいた。
「おう、葵かおはよう」
と、葵は凱斗の腕にくっついている楓花に目を向けた。
「ねぇ凱斗、私がいない間に楓花と何かあったの?」
凱斗は横にいる楓花に視線を向けた。
「と、特に何もしてないんだけど・・・」
「じゃあ何で今日はいつもより近いのよ!離れてよ!」
と、葵は警戒するが楓花は見向きもせずに凱斗の腕をギュッと掴んだ。
「今日、凱斗が舞冬と一緒に寝てた」
楓花が頬を膨らませながら言うと葵の機嫌が悪くなった。
「ねぇ、凱斗それって本当なの?」
冷たい声が凱斗を襲う。
「じ、事実だが俺は何も・・」
「凱斗のバカッ!」
「俺は悪くねぇー!」




