負けることができないすごろくⅣ
惜しくも楓花はゴール手前で止まり、楓花の番終了。
今度は香澄の番だ。
「ここで決める」
香澄も楓花と同じくあと6マスでゴールするところまで来ている。
香澄の顔が真剣な目付きになった。
たかがすごろくで真剣になるのは馬鹿馬鹿しいと思うだろうが、少女達にとっては思い人のキスがかかった大切な場面なのだ。
「えいっ!」
香澄が転がしたサイコロはちょうど机のど真ん中で止まり、全員で机の真ん中を覗くと、
「「「「「6・・・・」」」」」
全員がサイコロの目を言ってその数十秒後、香澄を除く少女達の機嫌が物凄く低くなり、凱斗は地面に手をつき、ぶつぶつと何かを呟いていた。
「やった、私、ゴールした」
そう言い、凱斗の方を見て機嫌が最高になる香澄。
「凱斗君、ゴールしたからその、キス、してほしいな」
瞬間、香澄以外の少女達が凱斗の行く手を阻んだ。
「凱斗、あの女とはキスしないで!」
「旦那様、キスするなら私に・・・」
「凱斗、行っちゃダメ」
三人は止めようとするが、香澄はそれすらも阻止する。
「凱斗君、みんな最初ゴールした人はキスって言ったんだから、それは守るべきだよね?」
「えっと・・・」
このまま議論は続き、結局香澄の頬にキスし、それでも尚、三人の機嫌は相当悪かった。
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波乱のすごろくが終わり、凱斗は復習を済ませ、ベッドに入る直前に部屋の扉が開き、そこから可愛らしいパジャマを着た舞冬がいた。
「え?舞冬姉、どうしたんだ?」
舞冬の手にはいつも舞冬が愛用している枕があった。
「今日言ったでしょ?一緒に寝るって」
凱斗は頭をフル回転させ、今日の昼頃に話していた事を思い出した。
(たしか、舞冬姉に黙って外出したから、だっけ)
まさか本気とは思っていなかったが、舞冬はどうやら本気らしい。
「ほ、本当に一緒に寝るのか?」
「当たり前じゃない、何も言わずに別の女とデートしたんだから、それなりの罰は受けてもらうわ」
確かに悪いとは思っている、舞冬姉達を心配させたし、仕方ないか、と胸の中で呟いた。
「二人だと、ベッドは狭くないか?床に布団を敷いて・・・」
「ダメよ、それじゃ凱斗とくっつけないでしょ!」
「それが目的か」
あきれた表情で床に敷いていた布団をもう一度押し入れにしまった。
ほんの少し前まで相当機嫌が悪かった舞冬が嘘みたいだ。
「じゃあ、電気消すぞ」
部屋の電気を消し布団に入ると、最初の少し冷たい布の感触は無く、先に入っていた舞冬の体温で布団は温まっていた。
そして舞冬は風呂から上がってさほど時間は経って無い為、舞冬の肌に触れると温かい&良い匂い。
女の子特有の甘い香りが凱斗の背中から香ってくる。
「ねぇ、凱斗」
「ん?」
「私達、本当の姉弟じゃないの」
「え・・・?」
突然の告白に戸惑う前に驚きを隠せない凱斗。
「それって、どういう・・・」
「嘘、凱斗がどんな反応するか見てみたくて」
舌を少し出し、可愛らしくゴメンと言う舞冬。
「驚かせんなよ・・・」
「ふふっ、ごめんごめん、じゃ、おやすみ」
「あぁ、おやすみ」
凱斗も目を閉じ、意識をシャットダウンさせた。
だが、シャットダウンする前にさっきの舞冬の言葉が少し引っ掛かる。
あれは、本当に嘘だったのか・・・と。
(もし俺と舞冬姉が姉弟じゃなかったら・・・)
そんな事を考えているとすぐに睡魔が襲ってきて、凱斗は夢の中に入っていった。
ミカエルです。
1月1日に無事五作目の小説「崩壊世界のアンゲルス」投稿完了しました。
まだ一話しか投稿してませんが、どんどん投稿していくつもりなので、見ていただけると幸いです。




