負けることができないすごろくⅡ
「それではすごろくスタート!」
順番は紅葉→舞冬→楓花→香澄→凱斗の順番である。
一番最初の紅葉がサイコロを回し、マスを進む。
紅葉の止まったマスは特に何も無く、次の舞冬。
舞冬も紅葉と同じマスに進み、特に無し。
「じゃあ次は楓花」
舞冬がサイコロを渡し、楓花が先のマスを確認し、よし、と小さな声で呟きサイコロを回す。
紅葉や舞冬よりは進まなかったが、ここでイベント発生。
(いずれかのプレイヤーに膝枕をしてもらう)
楓花の止まったマスはそう書いてあった。
「なんなんだ、このイベントは」
ため息をつき、楓花の方を見ると、少しソワソワしているような感じが見受けられた。
「凱斗、その、膝枕・・して」
頬を赤らめながら言ってきた楓花に思わず赤面する凱斗。
「お、おう」
座り方を正座に変え、周りを見渡すと涙目でうっ~と唸っている紅葉と剣呑な眼差しで凱斗を睨む舞冬、そして凱斗の横腹をさっきからつねってくる香澄。
「凱斗、イチャイチャするのは、無しだから」
「旦那様の、バカッ!」
「早く終わらせないと私、耐えられないな」
舞冬の深海のように冷たい言葉に続き紅葉と香澄が嘆いた。
「じゃ、じゃあ、失礼します」
凱斗の膝に寝転んだ楓花はまさに、物静かな子猫であった。
その幻覚に囚われ、思わず楓花の頭を撫でようと、頭に手を乗せようとしたその時、香澄が凱斗手を弾いた。
「そんなのダメ、絶対ダメ」
「何をしようとしてたの?」
向かいにいる舞冬には凱斗の行動は分からないらしく、香澄に質問し、それに香澄が答えると、
「それは絶対許さない!凱斗、頭を撫でるの禁止!」
「旦那様の浮気者!私の頭撫でて!」
この部屋では凱斗が頭を撫でることは禁忌らしい。
楓花が凱斗の膝枕を堪能し、次は香澄。
「じゃ、私回しまーす」
香澄がサイコロ回し、出た目のマス分進む。
「残念、特に何も無し」
すごろくの面に書かれてるイベントの数は7割ほど、他は白紙である。
そして次は凱斗の番、すごろくを回し出た目分進むと、イベント発生。
(あなたの好きな人の頭を撫でる。)
「凱斗、これ、頭撫でて良いの1人だけだから」
また余計修羅場になるような条件つけやがって、と胸の中でつっこみ、辺りを見回すと、血走った目付きでこちらを見る少女達がいた。
「旦那様、選ぶのはもちろん私よね?」
「凱斗、私を選ばなかったら許さないから」
「凱斗が好きなのは私だけ、だから私を選ぶ」
「私のこと好きじゃないの?・・・他の子選んだら許さない」
この四人誰を選んでも、ややこしい展開になることはわかっていた。
それを踏まえて誰を選ぶか。
(それともここは純粋に好きな人か?でも俺には好きな人はいないし・・・)
「凱斗、決まった?」
舞冬の問いかけに少し間が空き、凱斗が答えた。
「俺の好きな人は・・・舞冬姉だ」
一瞬、辺りがシーンと静まり返り、舞冬の顔は真っ赤になった。
「旦那様の、浮気者!」
「凱斗、説明を要求する、なぜ私じゃないの?教えて」
「なんで私じゃかったの、詳しく教えて」
三人が意義を唱えている間の舞冬は独り言をブツブツと呟いていた。
「いや、何も異性として好きって訳では無いぞ?確かに舞冬姉は家事もできるし、ずっと喋っていたくなるぐらい喋るの上手いし、とびきりの美人。だから俺が惚れてもおかしくはないけど、今は家族としてってこと」
異性として好きということではない、と凱斗が言った瞬間、急激にテンションが落ちた。
「舞冬姉、家族として、愛してるよ」
この言葉を聞き、舞冬は「まぁいっか」と機嫌を取り戻し、楓花達三人はホッと息をはいた。
ミカエルです。
突然、すごろく回を書いてみたくなったので、書いてみました。
こういうゲーム回を書くの意外と憧れてまして。
また、別のゲーム回を書く時があるかも知れないでーす。




