幽霊さん
『待て待て待て落ちつけ嬢ちゃん別に祟ろうってんじゃないよ』
「え、あ、幽霊?」
『その通り、俺はそこの骨になっちまった哀れな男の幽霊さ。
ちょっと頼みがあってよ』
ぷかぷか浮かぶヒトダマ?はやはり幽霊のようだった。
「頼みって……」
『お嬢ちゃん この森の奥の村の子だろ?いやーなかなか誰も見つけてくれないもんだからもうあきらめようかと思ってたとこだよ。』
なんだかとってもフレンドリーな幽霊だった。
ってそんなことより
「村があるの?」
『?ああ 嬢ちゃんあの村から来たんじゃねぇのか?いやでも嬢ちゃんみたいなのが住んでるのはこのあたりじゃあの村しかないと思うんだが……』
「ええと、私が気が付いたらこの森にいて、何も覚えてないんだ。」
私みたいのがってどういうことだろ。村人全員そっくりさんの親戚とか?
『わけありってことかね。そういえば嬢ちゃんは色がちがうみたいだしな。』
「色? あの、それより村って近いの?」
『近いっちゃ近いが嬢ちゃんだとどうかね、歩いて丸一日くらいかかるかもしれねぇな。
あの村の奴は身内には優しいがそれ以外には結構そっけないから、あまりちかよらないようにしてたんだよ。』
じゃあ私も入れてもらえないんじゃあ……
『嬢ちゃんならあいつらの身内だし大丈夫だろ。』
「え?なんでわかるの?」
『見りゃわかるよ』
私の周りを幽霊さんがくるくる回る。
どうやら見られてるようだった。
よくわからないけど……
「ありがとう幽霊さん。その村に行ってみるよ」
目的地が決まったので幽霊さんにお礼を言って早速出発だ。
『待てって頼みがあるっつってんだろ』
忘れてた。
『ていうのも、俺の墓を作ってほしいんだよ』
「なるほど、やっぱりお墓はほしいものなんだね」
『ああ。じゃないと俺の体が死霊に乗っ取られてスケルトンになっちまう。そうなっちまったら死んでも死にきれねぇ』
ええ?何それファンタジーな
と思ったけど目の前には幽霊さんが浮かんでいました。
「どんなのを作ったらいいのかな やっぱり埋めればいいの?」
『いや、俺の体はすでに骨だけしか残ってないから。とりあえず適当な感じで石を積んでくれるだけでいいさ。』
そんなわけで幽霊さんの指示の元、お墓作りをする。
それなりの大きさの石を集めて積み上げるだけの簡単なものだった。
そしてお骨を着ていたローブに包んでまとめてお墓に添える。
あれ?頭蓋骨の中にきれいな宝石みたいなものがある。
「なんだか魔法使いが着ていそうなローブだね。」
『ん?俺は魔法使いじゃなくてれん……いや、研究者ってとこだな。』
だよね、魔法なんか
『まあ魔法も人並み以上には使えたんだけどな。』
あるみたい。
「え、魔法なんてあるの?」
『何言ってるんだ?魔法にあるもないもないだろう』
やっぱり私の常識は通用しないみたい。
『なんだかいろいろ危なっかしい嬢ちゃんだが、俺もそろそろ逝かないといけねぇ』
「え、そんないきなり」
『世話してやりてえけど、俺はもう死人だからな。生きてる嬢ちゃんにいつまでもまとわりついてるわけにはいかねえんだよ。
そうだ、俺のカバンをもってくといいさ、もう俺には必要ねえが、嬢ちゃんが村につくのに役立つものくらい入ってるさ。』
そういってカバンを私に持たせると中に入ってるものの説明をしてくれる。
『あと、心残りといえば……そうだ嬢ちゃん。俺の頭のあたりに宝石みたいなのがあっただろ』
「ええと、これかな」
お墓に置いておいた宝石を持ってくる。
『それは俺の義眼なんだが』
「ぎがん?」
『目ん玉だ。ま、その代わりになってたものなんだけどな』
「うえぇ!?」
『ばっちくねぇって、たぶん。それでそいつにはな……いや、それもやるから売るなりお守りにするなり好きにしな。』
何かを言いかけていたみたいだけどどうしたんだろう。
『じゃあな、そろそろ逝くわ』
「え、ちょっと!!」
幽霊さんはそういったきり、すうっと溶けるように消えて行ってしまった。
「名前も聞いてなかったのに……」
こうして幽霊さんは急に表れてよく喋って急にいなくなってしまった。