森での目覚め
ほぼ初投稿です
よろしくお願いします
(……まぶしい?)
目を閉じていてもわかるほどの明るさに、私は寝る前にカーテンを開けていたかなと思いながら、さらに言うとどうにも寝苦しくて薄く目を開けた。
すると目の前に広がるのは空でも飛んでるような森の中を高いところから見下ろす俯瞰視点。
あまりの光景に寝返りを打とうかと持ち上げかけた体が硬直する。
「ええ!?と、飛んでる……夢?」
しかし、少し自分の状況を確認してみるとどうやら飛んでいるんじゃなくて、高い場所に洗濯もののように引っかかっているようだった。
「えぇ~私なんでこんなところに干されてるの?」
引っかかっているのは巨大な木の根っこ部分で、 その根が途切れている先が少し崖のようになっていたために まるで空を飛んでいるような錯覚に陥っていたみたい。
とりあえず比較的安全そうな方向に回り込んでから地面の上に降りることにした。
「あれ?私こんなに背が低かったかな……って え!?私って……」
ゆっくり降りるために恐る恐る下に足を延ばしていたのだけど、どうにも自分の中の感覚と実際にできていることの間に妙な違いを感じた。
やっと地面にたどり着けたとホッと人心地付いたところで自分のことを何も思い出せないことに気が付いた。
「どういうことだろう、ここはどこ?なんでこんな場所にいるんだろ?」
見渡す限り緑に覆われた森の中。足元には苔の生えた巨木の根が張り巡らされていて、人が手入れしているような森には思えなかった。
「もしかしてサバイバル開始なの?」
困った。自分のことも思い出せないのにサバイバル知識なんてあるわけない。
このまま自分はこんなところで誰にも知られず朽ち果ててしまうのかと膝をついてうなだれる。
すると白銀色とでも言うのだろうか 輝く髪の毛の束が流れるように揺らいだのに気が付いた。
「これ もしかして私の髪の毛?」
思わず指ですくい上げてみるしかしその指もどうも自分で思っていたよりずいぶん小さい子供のものだった。
「おかしい、記憶がないって言ったって私の中にある感覚と違いすぎる気がする。」
自分の中ではどうも日の光で白かったり銀色だったりに見える髪の毛は変だと思うし、手が小さいことに驚けるほどもう少し自分の手は大きかったという確信がある。
ということは記憶どころか体まで自分の知らないうちに変わっている?
今の姿は何となくだけど10歳に満たないくらいの幼児のような幼さだと思う。
でもそれくらいの子供の髪がお尻のあたりまで伸びているのはさすがに長すぎないかな?
とはいえ元の自分も大人だったとは思えない。詳しく思い出せないけど……
まだ今の状況を整理できていないけど、なににしてもどうするか考えないといけない。
とりあえず今の自分のことを確認しよう。
持ち物:布の服
以上
詰んだ?
身の回りを確認してみたけど 持ち物らしきものは何もなかった。
まさに着の身着のまま 靴すら履いてない。
どうしよう おなかが空いても食べ物すら持ってない。
いやいや、ここは森の中。少し探せば食べ物くらい見つかるさ。
幸い地面は柔らかい苔や落ち葉が絨毯のように広がっていて裸足で歩いても大丈夫そうだった。
さっき高いところから見渡した感じでは、木々が途切れている場所まで見渡すことができなかったので、どうやらここは相当深い森の中らしい。
なかなかデンジャーな感じがするけど悩んでいてもしょうがないと思いなおしてとりあえずの行動を開始することにしよう。
「うぅ~いつまで歩けばいいんだろ」
しばらくあてもなく歩いているけど、行けども行けども森が途切れる様子はない。
今は大丈夫なようだけど内心いつ獣なんかに出会ってしまうかとドキドキだった。
戦う力なんて持ってないからもし凶暴な動物にでも出会ったら食べられてしまう。
食料になりそうなものを探しながら歩いてはいるものの、なぜか自分の感覚では食べられるのかどうかもわからない木の実やキノコしか見つからない。
記憶はないけれど知識としても知らない物しか見つからないなんて、自分はこのあたりで暮らしていたのではないんだろうか?
とにかくそれ以外見つからないのなら仕方がないと、食べるかはともかく目についた木の実はとっていくことにする。
さすがにわからないキノコは危険すぎる気がするから無視していく。
小さめの木の実を拾い集めポケットに入れていくけど子供用の服のポケットなんてそうそう量ははいらない。
そろそろ食べられるのかをどうにかして見極めないとそこに転がっている骸骨のようになってしまう。
とりあえずポケットから赤い小さな木の実をつまみ出してみる。これはさっき小鳥がつついているのを見たので多分食べられるはず。
意を決して……いざ食べ……
ん?
骸骨?
「ひいぃ!!」
びっくりした!!木の実に気を取られていて木の根元に倒れこむように転がっている骸骨を風景のようにスルーしてしまっていた。
「が……骸骨なんて初めて見た。」(ような気がする)
腰が抜けたようになってしまってへたり込んでいると手にちいさな袋があたった。なんだろこれ。
改めて見てみると、こんな森の中を歩いていたとは思えない妙な格好で行き倒れている骸骨だと気が付く。
まるで物語の魔法使いのようなローブを着込んでいる。
死んでからどれくらいたっているのかはわからないけど、動物が荒らしたような跡がないことから、どうやらこのあたりには大型の肉食動物はいないんじゃないのかと少し安心できた。
この袋はこの魔法使い?さんの持ち物なのかな?
中にはよくわからない干からびた植物のようなものが入っているだけだった。
「山菜……とかなのかな。これを取りに来て遭難したとか?」
だったとしても何も持たないでこんな森の中に入ってくるとは思えない
骸骨に近づくのは怖いけど、何か役に立つものを持っているかもしれないと思ってしらべてみる。
「あ、カバンを持ってる。……もらっても……いいよね?」
骸骨が方から下げているカバンをみつけて、手をのばした そのとき
『おい!嬢ちゃん!』
「ひやぁぁぁ!」
頭蓋骨の上あたりに突然ぼんやりとした光が現れてこっちに話しかけてきた。