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ヤーさんのお姫様  作者: 不知火 初子
五章 ひとりでだって強くはなれるよ
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参佰参拾肆




伯父さんや伯母さんは、わたしを大切にしてくれたと思う。


疑う余地なんてない。


2人はいつだって、わたしの気持ちを一番に考えてくれていた。




それも含めて、知っているのだ。


本当は。


彼らが、自分たちの子どもを欲しがっていたことも。


わたしを、本当の子どもだと思いたがっていたことも。







両親が生きていた頃、2人は頻繁に家へ来ていた。


彼らは養子縁組と子育てのことで、両親に相談があったのだ。



当時は、両親がわたしだけの父と母ではなくなると思ってしまい、不安になることもあったけれど。


相談に来ていたのは一時期のことだったし、あとで大人たちはちゃんと事情を説明してくれて、わたしもなんとなく納得した。




今になって分かる。


彼ら、特に伯母さんのほうは、わたしを自身の子どものように思ってくれているが、その一方で義理の妹が産み育てた子であることを片時も忘れていなかったのだろう、と。





わたしと伯父さんは、血の繋がりがある。


だけど伯母さんとわたしには、今ある戸籍上の繋がりをなくしてしまうと、もう家系図どおりの関わりでしか表せなくなってしまうのだ。




わたし以上にそのことを分かっているはずの伯母さんは、けれど無理に母親になろうとはしなかった。


伯父さんの妻として、保護者の一人として、こどもを保護する人の支えとして。


いつもそこにいてくれた。



わたしは、伯母さんとの間にあるその距離感が好きだ。



それはたぶん、踏み込んでほしくない部分が互いにあることを分かっていたという理由もあるのだろう。



そうやって2人のあいだには少し距離が空いていたけれど、伯母さんはわたしのそばにいようとしてくれた。





クリスマスの日だって、家を飛び出して逃げたわたしを最初に見つけたのは彼女だ。



あの日、伯母さんは自身の気持ちのすべてを話したわけじゃあないのかもしれない。


きっと、芯の部分は優しさに覆われて明かされないままなのだろう。





それでもいい。



そんな関係でもいい。





親だからでも、母だからでもない。


ましてや同じ女だからでもなくて、友だちとも呼べない。



当たり前に、人として、わたしに接してくれているのだと。


彼女に軽んじられていると感じたことは一度もなかった。




それは伯父さんにも言えることだけれど。


血の繋がりもない危うい絆の他人でもここまでしてくれるということが、なんだか一番重要なことのように思えるのだ。






伯母さんのことが大好きだ。


伯父さんのことだって大好きだ。


両親のことも大好きだ。



彼らのことが大好きで、大切でたまらないのだ。




今はそう感じる人が増えて、戸惑いのほうが大きいのだろう。


これ以上、大切なものを抱えるのは無理だと抑制しようとしているのかもしれない。





1人で生きるには、どうしても限界がある。


でも、わたしはまだ1人になったことがない。


1人で居続けることが、どういう生活になるのかを知らない。




わたしは本当に、1人っきりになりたいのだろうか。



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