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ヤーさんのお姫様  作者: 不知火 初子
一章 始まり
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目が覚めて最初に見えた光景は、わたしの脳内処理が追い付く範疇を超えていた。




「え。ここ、どこ?」


「おう、起きたか」


「え、誰?」




というか、ここは……何?



何で目の前に、凄い格好いいお兄さんが居るの!?



わたし、昨日何したの!?





目の前に男前が居るなんてこと自体がどこか夢心地で、夢だと自分を笑う為に男の頬をつねる。




「──ってぇ!!」




え? ナマモノの感触?


温かい? それに柔らかい?





「何しやがるんだ!! ……ったく──」





つねった時の感触が夢にしては現実的すぎて、未だボーッとしているこちらに彼は言い放った。





「お前、酒癖悪いな」



「は!? なに!? 何でそんなこっ──……うう、頭痛い……」





どうやら二日酔いらしい。


そして、目の前の男の呆れ顔が、視界に入る。


やってしまった……。





酔うと際限なく飲んでしまうわたしは、自分の今までの経験から、確実に失態を起こしてることを悟り自身に落胆して肩を落とす。





「頭痛は…………あるな。吐き気は?」


「……ない」




男は何も言わず、ただこちらの体調を案じた。




わたしも敢えて聞くことはしなかった。



今まで何人もの数を相手に迷惑をかけてきたことで、巡り巡って自分の耳にも話が入ってきてたから、今更蒸し返す様なことはしたくない。



わたしの心臓に悪い。





「……今日はとりあえず、ここで休め。気分が良くなったら俺に言え。家の近くまで送らせる」


「……お腹、へった」





身体の方は疲れているのだが、どうもさっきから胃の中が空っぽな気がする。



すると、男は声を上げて笑った。



うーむ。綺麗な笑顔だ。でも頭に響いて気持ち悪い。




暫く1人で笑っていた男はこちらの顰めっ面に気付いたのか、「ごめん」とだけ言って笑うのを止めた。



あ、勿体無かったかな……。




「で、何食べたいんだ?」


「たまごと梅干しのお粥」





空腹に応じてくれる質問に、わたしは即答した。


すると男はすぐ立ち上がって、部屋を出ようとする。




「分かった。作らせるから、それまで横になってろ」





丁度良く狭いこの寝室から出ようとするその後ろ姿に、何か言おうとして、けれど今この状況の温もりにすぐ行為を止めた。



ただ扉が閉まった後、終始優しい雰囲気だった男と、今まで出会ってきた男とが被った。



「どうして、優しくするの」







試しに読んでくださった方も、ブクマしてくださってる方も、ツイートから飛んできてくださった方も、読了ありがとうございます。

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