弐
目が覚めて最初に見えた光景は、わたしの脳内処理が追い付く範疇を超えていた。
「え。ここ、どこ?」
「おう、起きたか」
「え、誰?」
というか、ここは……何?
何で目の前に、凄い格好いいお兄さんが居るの!?
わたし、昨日何したの!?
目の前に男前が居るなんてこと自体がどこか夢心地で、夢だと自分を笑う為に男の頬をつねる。
「──ってぇ!!」
え? ナマモノの感触?
温かい? それに柔らかい?
「何しやがるんだ!! ……ったく──」
つねった時の感触が夢にしては現実的すぎて、未だボーッとしているこちらに彼は言い放った。
「お前、酒癖悪いな」
「は!? なに!? 何でそんなこっ──……うう、頭痛い……」
どうやら二日酔いらしい。
そして、目の前の男の呆れ顔が、視界に入る。
やってしまった……。
酔うと際限なく飲んでしまうわたしは、自分の今までの経験から、確実に失態を起こしてることを悟り自身に落胆して肩を落とす。
「頭痛は…………あるな。吐き気は?」
「……ない」
男は何も言わず、ただこちらの体調を案じた。
わたしも敢えて聞くことはしなかった。
今まで何人もの数を相手に迷惑をかけてきたことで、巡り巡って自分の耳にも話が入ってきてたから、今更蒸し返す様なことはしたくない。
わたしの心臓に悪い。
「……今日はとりあえず、ここで休め。気分が良くなったら俺に言え。家の近くまで送らせる」
「……お腹、へった」
身体の方は疲れているのだが、どうもさっきから胃の中が空っぽな気がする。
すると、男は声を上げて笑った。
うーむ。綺麗な笑顔だ。でも頭に響いて気持ち悪い。
暫く1人で笑っていた男はこちらの顰めっ面に気付いたのか、「ごめん」とだけ言って笑うのを止めた。
あ、勿体無かったかな……。
「で、何食べたいんだ?」
「たまごと梅干しのお粥」
空腹に応じてくれる質問に、わたしは即答した。
すると男はすぐ立ち上がって、部屋を出ようとする。
「分かった。作らせるから、それまで横になってろ」
丁度良く狭いこの寝室から出ようとするその後ろ姿に、何か言おうとして、けれど今この状況の温もりにすぐ行為を止めた。
ただ扉が閉まった後、終始優しい雰囲気だった男と、今まで出会ってきた男とが被った。
「どうして、優しくするの」
試しに読んでくださった方も、ブクマしてくださってる方も、ツイートから飛んできてくださった方も、読了ありがとうございます。




