拾参
ーーーーーあれから、2週間と少し。
私の周りでは、いつも通りの生活が続いている。
朝起きて、大学に行って就活の講義を受けて、カフェで友達と愚痴り大会、夕方には帰って、ご飯作って食べてテレビ見て、少ししたらお風呂に入って、洗い物を終えたら髪を乾かして、翌日の朝に向けてアラームをセットして、明日は何かあるかな?って楽しみも既に抱かなくなって、どうせ明日もって気持ちでご就寝。
独り暮らしの生活は、小さい時に両親を亡くした私には、寂しいものなのか、それとも気楽なものなのか、良く分からなかった。
このことを誰かに話したことは一度もない。話して、相手からどんな反応が返ってくるか分からないし、だからこそ自分も相手にどう反応してしまうか分からなかったからだ。
だから、私の事情を知る人は、身近には誰も居ないはずだった。
いつも通りの朝で、いつも通り大学に来て、いつも通り帰りにカフェに寄るつもりで、いつも通り友達と集まって、大学の門へ向かっていた時だ。
「ねえ、姫花!あの格好良い人、知り合い!?紹介してよ!」
「あ!ほんとだー!かっこいいー!」
「へ?何のこと?」
「門のそば!あの人、姫ちゃんの知り合い?こっち見てるよ!!」
友達が頻りに「門のところ」と口にし、私の知り合いか?と聞いてくる。本当に何のことか分からないので、うっかりその場所を見てしまった。
見なければ良かったと後悔する羽目になるのだが、後悔先に立たずとは、このことだ。
「よお!迎えにきたぜ♪」
「どちら様でしょうか?」
私は内心で、血を吐いた顔文字を自分に当てはめた。私のいつも通りの生活は、彼の登場によって呆気なく崩れる。
「きゃー!迎えに来ただって!姫花、やっぱ知り合いじゃん!こんにちは!私は彼女の友達の綾でーす!」
「こんにちは」
彼は私の友達に挨拶をして微笑みかける。途端、彼女たちだけでなく、周りの女の子達までも、通り過ぎる足を止め、こちらを見てこそこそとキャーキャー言っている。
確かに格好良い。無条件で無慈悲なまでに、余所行きの彼は格好良い。見た目が良いから。
ただし、あの別れ際の無愛想な彼が、私が最後に見た顔なので、どうにも偏った目で見てしまう。そして態度も。
私は目の前の彼を無視して、門の方向へと急いだ。こういう面倒くさいことが起こりそうな時は、足早に逃げるのが得策だわ。
後ろから追いかけてくる気配はない。どうやら、私の友達や他の女の子達に掴まってしまったようだ。何だか嬉しいような悲しいような、複雑な気持ちだが、ここは素早く帰路につくとしよう。
この時、私はーー何故、彼が追いかけて来なかったのか、深く考えなかった。そういうケアレスミスを冒した。
前回の投稿から直ぐの更新ですね。でも、展開としては、あまり変化が無いですね。
それはともかく、13話読了ありがとうございます。
実は14話も出来上がってたり、そうじゃなかったり。20話くらいで2人の関係に変化をつけたいです(希望)。




