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初恋2

作者: みるく

 あなたは、初恋の相手を覚えているだろうか。

 私は、名前も顔もはっきりと覚えている。

 ラッキーなことに、私と彼は相思相愛だった。

 私たちは幼稚園の子供の体ぐらいある大きなブロックでお城を作り、その中に二人で座っているだけで幸せだった。

 次の記憶は、その翌年、年中組の頃である。

 大好きな彼は、新入生の少年とのトランポリンに夢中。

 ちっともかまってもらえなくてすねた私は、嫉妬と切なさを込めて彼を見つめるのであった。


 しかして彼は、帰ってきた。

 年長組のある日、彼が

「○○ちゃん、お姫様ごっこしようか」

と言ってきてくれたのだ。お姫様ごっことは、例のお城を作って中に座る遊びであった。

 私は意気揚々とお城を作り、二人で中に座った。無言だった。何が楽しかったのか、幼児のたった二年ながら思い出せなかった。おかしい。こんなはずではない。しかし最後のお姫様ごっこは残念な結果に終わった。


 それでも私は、いつでもできるだけ彼のそばにいようとした。たとえば、帰りのバスを待つ時間とか。


 最後、私が引っ越すことになって、本当にもう会えなくなる日も、彼は知ってか知らずか

「ばいばーい」

と笑顔で手を振った。うれしくて振り返すと、

「チョキ!勝った!」

 私の網膜に残された彼の姿は、今も嬉しそうだ。そして私は夫となった人の顔を見て思う。

「似てるよなあ……」

 三つ子の魂百まで。どうやら二十年も生きて、最終的な男の好みは初恋と変わらなかったようである。

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