(15)フロイデントゥク、クロイゼドラウグ宮、プレス・ルーム、3月6日午後5時00分
当惑する記者たちは、ささやきあっていた。彼らは、連邦行政委員会新主席の記者会見があると聞いていたのである。対ジェグズイ宣戦布告に、前主席の失脚、新主席の認証と、今日は報道関係に休む暇もない。
おそらく、アクスープ新主席による就任演説であろうと思っていたら、演壇傍らには、大きな写真が掲げられている。大きく広い翼をもつ、真っ黒なコウモリのような飛行機。まるで、SFアニメから飛び出て来たかのようなデザインの全翼機である。……何だ、あれは?
アクスープが駆け足でプレスホールに入って来た。
「淑女紳士の皆さん、こんにちは。本日は、私にとって非常に嬉しい日となりました。私が行政委員会主席に任命されたからだけではありません。わが王立学院製作所が、画期的な飛行機を製作してくれた事を発表できるからです」
アクスープは右手の写真を指す。
「その名前は、戦闘攻撃機VF3であります。VF3は画期的な技術、対電探隠密性を持つ飛行機であります。今は、近衛軍に16機のみが配備されていますが、将来的にフロイディアの主力戦闘攻撃機になるのは、間違いないでしょう」
「対電探隠密性?」
「ええ」アクスープは笑みをもらす、「要するに、レーダーに映りにくい性質を持つという事です。敵の防空システムに補足されずに、敵地奥深くに潜入し、敵攻撃目標を破壊できます」
「そのデザインの飛行機が、実際に飛ぶのですか?」
「アイドニア軍用空港を出発した16機は、ヴァストリアントゥオへと向かっております」
プレス・ルームの末席にいた何人かが本社へ連絡を入れるべく、外へと駆け出した。
「慌てるこじきは貰いがすくない」とアクスープ、「飛行実験の時の記録フィルムを、各社1社ずつ分、こちらにご用意致しました。1本1フロインでお分けしております。ご希望の方は、会社名と名前をご記入のうえ、料金箱にご納入ください」




