弱小ヒーラー、スライムと戦う。
「ほらほらァ! オリー、攻撃しないと死んじゃうよ〜」
「うぅ、むりぃい!」
―――私の【レベル上げ計画】はすぐに始まった。
「・・・助けて、まおー様」
「えっ、レベル5のスライムなのに?」
魔王は大量のスライムに挟まれて身動きが取れない私を見て、ケラケラと笑っている。
まぁ、スライムに押しつぶされるのは初めてではないから慣れているが、何も出来ない非力な自分にはため息が出る。
レベル5のスライムだから大丈夫?レベル1のスライムにすら勝てないと言うのに―――。屈辱だ。
「ぐぬぬ・・・はぁ・・・」
「ぷっ」
魔王との戦いに破れた私はゲームオーバーになるはずだったのだが、魔王は何故か私にトドメをささなかった。軟弱な私に興味が湧いたのか、それはそれは楽しそうな口振りで「レベル上げを手伝う」と言い出したのだ。
HPが完全に戻ったあと、魔王は「実践あるのみ!」と言って比較的弱いモンスターが出る森に私を連れてきた。
確かにどのモンスターも弱かったが・・・ 私にはこいつらが倒せないのだ!
何故なら攻撃魔法が使えないからである―――!
仲間がいればこんなスライム、一撃で倒してもらえるのに。
無力な私はスライムに挟まれながら眉をしかめることしかできなかった。
こんな屈辱を味わうことになるなんて、やっぱりゲームオーバーになったほうがマシだったんじゃ?
でも―――
スライムって意外と弾力があって私好みの感触なんだよね。
「おい、オリー」
(―――スライム、万歳)
前にもこんな経験をしたことがある。
仲間には呆れられたが、スライムにもみくちゃにされていると心地良くなってきて、段々と眠気に襲われるのだ。
スライムのぷにぷにとした感触はまさに新感覚のウォーターベッド。
「お、オリー?え?寝たの? ザコ通り越して馬鹿なの?」
すでに熟睡している私を魔王はひきつった顔で見ていたらしい。
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「さすがに驚いたよ。スライムと戦っている最中に寝るなんて」
眠りから覚めた私は、自分の失態を思い出して気まずい気持ちになった。
「きみは仲間がいないとすぐ死んでしまうね?」
「・・・みんなには感謝しています」
「いつもきみを守ってくれていた仲間か、ははっ、ザコかったなァ〜」
「―――っ」
魔王は相変わらず心無い言葉を吐く。
私の仲間をゲームオーバーにした張本人、憎き相手が目の前にいると言うのに私は何も出来ない。
早く攻撃魔法を覚えて、魔王を倒さなければ―――!
拳を握り締めながら魔王を睨み付けと、「その意気だァ」と、魔王は悠然とした口振りでそう言った。
私は仲間達の敵を討つために強くなろうと決心したのであった。
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