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弱小ヒーラー、魔王城で目覚める。

「やっぱり、弱い者いじめは気が引ける。よし!君のレベル上げを手伝ってあげよう」


魔王がパチンと指を鳴らすと私の周りを囲っていた火柱が一瞬で消えた。


うぅ、まだ弄ばれるのか。

早くゲームオーバーにしてほしいのに、この魔王は相当意地悪な性格をしている!


(神様、助けて・・・)


私にはもうこの絶望的状況を回避する力は残っていない。

一度瀕死状態まで陥った勇者達を回復するために、すでに大量の魔力を消費してしまった。


私はうつ伏せで地面に倒れている傷だらけの仲間を見て、申し訳無い気持ちになった。

勇者のルーカス、弓使いのオーウェン、私と同じ魔法使いのライリー。

みんな私とは違い確かな実力を持っていたはずなのに、魔王に攻撃を仕掛ける間もなく、一瞬の内にHPを1まで削られてしまった。


「震えてるの?俺が強すぎて、コワイ?」


魔王は私の顔を覗き込みながらそう言った。

恐いに決まっている。

命を握られている状況で、平然としていられるわけがない。


私は微かに残っているMPで自分を回復しようと試みたが、体力はすでに限界を迎えていたようだった。


(もう、駄目・・・)


意識を手放す直前、魔王は私の手首を掴み力強く自分のもとへと引き寄せる。


「終わらせないよ。魔法使いサン!」


最後に聞こえたのは人情味の欠片も感じない明るげな言葉だった―――。



「おはよう、"オリー"」


「私、生まれ変わったんだ。今度こそ攻撃魔法を――― あれ?」


目を覚ました私の目の前には、魔王ジェイス・ブラックウッドがいた。

一瞬、神様かと思ったがこの男は間違いなく魔王だ。


「やぁ」


(・・・ゲームオーバーになってない?)


私は倒されたはずでは?

現状を把握しようと辺りを見渡すと、自分が信じられないほど豪華な部屋にいることに気付く。


(―――綺麗!)


シャンデリア!天蓋てんがいカーテン!大きな窓!大理石の床!に広がる豪華な絨毯!

開放感のある空間には高級感漂うお洒落なアンティーク調のインテリアが配置されていて、胸を躍らせずにはいられなかった。


「オリーはこの部屋が気に入ったのか」


「素敵だわ!まるでお姫様になった気分!」


(―――あ。)


魔王を目の前にして私は・・・ 何を言っているの?

美しいものを見ると興奮してしまう癖を直したい・・・



「ここは魔王城の一室だよ」


「拉致!?」


「そんなところ」


魔王はニコニコと笑っているが何か企んでいそうにも見える。私を拉致した理由があるはずだ。


「オリー、君のレベル上げを手伝ってあげようと思って」


魔王は私を見つめながらとんでもないことを口にした。


「レベル上げ?」


「ぜぇんぶ調べたよ。君は攻撃魔法の使えない回復専門のザコい魔法使いなんだろう?」


「そうですけど」


ザコいは言わなくても良くない?


「だから、攻撃魔法を教えてあげるよ!」


「俺に感謝し始めた頃にゲームオーバーにしてあげる」と、魔王は無慈悲に笑った。


(―――は?)


それって、つまり、どう言うこと―――!?


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