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キミと私とあなたで一夫二妻  作者: ストラディ


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2話 瑠衣の選択

――3人で付き合うことになった後の屋上。

 感情の嵐が過ぎ去り徒労感に打ちひしがれる瑠衣。


「あ!部室の鍵を返さなきゃ!」

 ななみが駆け出す。瑠衣がすかさずに。

「校門のところで待ってるから」。

 階段をかける音が遠ざかっていく――。


「ところで――。白石くんはななみの事どう思ってるの?」

 腕を組み、ジトっとした目つきで、瑠衣は悠人を横目に見る。

 「えっ!?どうっていうのは……」

 さっきの出来事の後でどう接していいか困惑する悠人。

 「異性として、好み、印象、容姿、内面、さすがに1年も接してればある程度わかるでしょ」

 淡々と冷静に悠人に詰め寄る瑠衣。

 

「振られて振って、でも3人で付き合う、そんな複雑な状況で、すぐそれ聞きますか」

 皮肉や悪意はなく純粋な苦笑いをする悠人。

「白石くんには悪いけど、私はあなたを好きになることはないと思うの」

 瑠衣はまだ赤みを帯びた目元で真剣な表情のまま語る。


「それでも3人で付き合う形をとるのは姫宮さんのため……かな?」

「そうね――できればななみと白石くんがくっ付いてくれれば大団円ね。」

「天城さんってほんとハッキリと言い切るよね」

「目的を達成するためには全力、最善の選択、それが私の理念なだけ」


 ――少しずつ会話が弾んできているが仲が良くなっている訳ではない。

「そうだね、姫宮さんはすごくいい子だと思う」

 それを聞いて誇らしげな瑠衣。

「おっちょこちょいな姫宮さんを助けてる天城さんも素敵だけど」

「そういうのはいいから」と悠人を睨みつける。


「う~ん……と言われてもなぁ…………」

「可愛らしい妹タイプ……だからかな?」

 なんとか理由を絞り出す。

「ハァ?」

 理解できず反射的に呆れてしまう。

 

「なんというか、すごく気さくで健気ですぐ仲良くなれる雰囲気で」

「好きというより愛おしいというか守りたいというか」

 悠人は自分で言っていて徐々に恥ずかしさが返ってくる。


「白石くん、あなたねぇ――」

「血が繋がっていない妹なんて、それこそ彼女にしたい女の子でしょ」

 頭を抱える瑠衣。

「恋愛小説やラブコメ漫画でも男子はそういう子に惹かれるもんじゃないの?」

 瑠衣は自分に恋愛経験がないのであまり断言する自信はない。


「それこそ個人の好みの自由というか、僕は……」

 何かを訴える悠人の視線。

「はいはい――わかったから」

「いや、これはちゃんと言っておきたいんだ」

 

「僕は天城さんの芯の強さとか、姫宮さんと居る時に見せる、天城さんの優しい笑顔に惹かれていったんだ」

 真剣な表情で瑠衣を見つめる悠人。

「――――そう」

 何とも言えない、言い返せす言葉が思い浮かばない瑠衣。


「だから3人で付き合っても何も状況は変わらないかもしれない」

「――そうね」

 神妙な面持ちの悠人と瑠衣。


「姫宮さんのためでも、あのまま自然にまかせて次に進むほうがよかったかもしれない」

「そうかもね……それでも」

 

「それが天城さんのエゴだとしても――かな?」

「――!?……そこまでわかって……か」

  吐息混じりに肩を落とす瑠衣。

 

「ちゃんと言ってくれるのね、白石くんは」

 少し観念したかのように悠人を見つめる瑠衣。

「君はそういう人だから――、ハッキリとね」

 得意げな悠人。

「ふふっ――ただの優男じゃないのね、ますます――ななみとくっ付けたくなったわ」

「君の言う、高校生の恋愛はもっとお互いを知ると心変わりもあるかもってこと?」


「こういう心理学があるの――」

「人の心は外からの情報や刺激に()()してるんじゃなくて」

「本人が意識したり変えようと自ら願う、内からの()()で思考や行動をしているって考え方」

「……それってどういう……」まだ上手く飲み込めない悠人。

 

「好みじゃないだろうなって食わず嫌いだった食べ物が、思い切って食べてみたら意外と美味しくてハマっちゃう、みたいな」

「食べ物は最初から味は変わってない、食べてみて自分の認識が変わったから好きになったってこと」


「そういうのってさ、どこで教わるの?」と首を傾げる悠人。

「ん――お父さんの書斎にある本かな、経営理念とか成功哲学とか」

 少し幼さが見えるような純粋無垢な表情で答える瑠衣。

 

「つまり僕が自発的に天城さんから姫宮さんを好きになると」

 ――でもそれって天城さんにも当てはまるんじゃ……と口に出そうになる悠人。

「そうね、ななみは本当にいい子よ、絶対好きになるわ」

「うっ、返答に困るね、好きな人から勧められたり、今さっき告白してもらって断った身なだけに」

 特殊な状況になり、険悪になることも歩み寄ることもない恋愛について語り合う二人。


「あ、そろそろ行かないと姫宮さん待ってるんじゃないかな」

「いけない!急ぎましょ!」

 せかせかと屋上から階段、校門へ向かう二人。

 そこには遠くからでもわかる、ふくれっ面をして待ってるななみが待っている。


「ふたりとも――遅いよーなにしてたの――」

 すっかりいつものななみに戻っている。

「ごめんね姫宮さん、ちょっと話し込んじゃって」

 ちょっとななみと悠人の距離は近くなったように感じる。

「えーなに話してたのー?気になる」

「そうそう、せっかく3人仲良くなれたんだもの、近いうちにデートしましょうって打ち合わせをしてたの」


「えっ」寝耳に水な悠人。

「えー!」嬉しさと恥ずかしさが見え隠れするななみ。

「デートなんて今時の小学生だってしてるものよ、3人で学校外で会うのも初めてじゃない?」

「たしかに……、学校では同好会で一緒だったけどね」うなずく悠人。

「楽しそう!駅前のショッピングモールとか行こうよ」小躍りするななみ。


「それじゃ決まりね、日時はまた夜にグループで決めましょ」

「はーい」

「わかった、それじゃ」

 校門で悠人と別れてななみと瑠衣は二人で歩く。


「ななみー、白石くんと他に何を話してた気になる?」

 学校から少し歩いた先の公園の横を歩きながら瑠衣はななみに問いかける。

 

「えぇ!?それは……」小さくうなずきながら口を尖らせるななみ。

「ななみは可愛らしくて守ってあげたくなる女の子だって――、これ教えたの内緒ね」

 口に人差し指を当て顔を寄せ合う瑠衣とななみ。


「え――!でも――白石くんが好きなのって」戸惑うななみ。

「ななみ!こういう事は強い願望がすごく大事なの」ななみの両肩にそっと触れる。


「3人で付き合うことになったのもまだまだ全然、チャンスがあるんだから」

「ななみが諦めなければ白石くんにだってきっと想いは通じるよ」

 真剣な瑠衣に気圧されるななみ。


「それに高校生の恋愛なんてスキスキ言われてたら好きになる、そういうものよ――だから」

「私はななみの恋を応援したいし私はそれが幸せ、白石くんもまんざらじゃないしみんなWin-Winになれるなら完璧じゃない」

 クルっと回りながらななみの方を振り返る瑠衣。


「……そうかな!うん、頑張ってみる!」両手を握りしめて息が荒いななみ。

「そのためにはデートとか、これから起こる事に事前の計画を立てておくこと、焦っても何も良い事はないからね」

「さすが瑠衣ちゃん!」羨望のまなざしを向けるななみ。


 ――さて、いかにななみと白石くんが良い選択をして自然に二人が一緒になるか。

 私もこれからのプランニングをしなくちゃね……。

この作品は「カクヨム」「小説家になろう」にて

投稿・掲載されています。

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