6話:わくわくとドキドキ
期末テストも無事終わり、久しぶりの投稿となります。
「えーっとなー、ここはゲーセンと映画館だろ…そんで、あっちにあんのがショッピングモールの小っ
ちゃい版。CDショップとか本屋とかいろいろあるから便利。…あっちは大きい電気屋さんな。そこは市民会館。いろんな事やるところ。あとは…」
俺たちは、学校から少し離れた駅の近くに来ていた。意外といろんなものがある街だ。
「結構いろいろあるんだな」
俺はぽつりとつぶやいた。
「もっちろん! この街なめちゃいけないぜ?」
「……はぁ」
「でもな、自然もいっぱいあるんだぜ。ここらは結構都会だけど、ちょっと歩けば川もあるし」
野田が、楽しそうにこう言った。…川、ねぇ。
「へぇ」
とりあえず受け流しておく。…俺が前住んでいた所は、ここ以上に田舎だった。だから、映画館なんかがあるとわくわくする。
でも、わくわくするのと同時に、ちょっと不安だった。
それは、俺がこの街で平凡にやっていけるかということ。そんなに心配することはないだろうけど…。
「ま、こんな所だな。あとはちょっと遠くに行けばかなり都会に出る」
野田が、ちょっと眉をひそめながらこう言った。
「…あ、そういえば赤井」
「ん?」
俺は顔を上げた。
「赤井って、どこから来たんだ?」
…なんと答えればいいのだろう。悩む。すごく悩むところだ。
「えーっとな…結構この街の近く」
うん、本当のことだ。
「へぇ。何市?」
…野田の奴、変な所に興味持つんじゃねぇよ。
「…………。……………」
沈黙。そして。
「…××町から来た」
…思いっきり赤面。田舎者だと思われてないだろうか。
「は、まじ!?あそこ俺のじいちゃん住んでる!!」
お願いだから食いつかないでくれぇ。
「そ、そうなんだ」
「××町ってことはちょっと方言使う?…ま、ここも方言使うけど」
「…使うよ」
俺は基本標準語だが、たまにぽろっと方言が出ることがある。んで、友達にからかわれるのだ。…ぜってー方言カッコいいのに。何でバカにされなきゃなんないんだろう。
「そっかぁ。赤井も方言使うのか?」
「…うん、まぁ」
「そっかそっか。なんか親近感わいてきた」
野田がニヤリ、と笑う。
「…へ? 親近感?」
俺は顔を上げて、野田のことを見つめた。……こいつも方言使うのかなぁ。
「うん。…あ、じゃあ今からダチさん紹介するわ」
「…ああ」
やっぱり変な奴…。
つかめない。つかむことができない。