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24話:過ち
「……あっれぇ、まだあいつ来てねぇや」
河原にて。
野田は人気のない河原を見回しながら、残念そうに小さくつぶやいた。
「……だな」
河原は静かだ。俺はわりと、こういう場所が好きだ。何つーか、落ち着くし。
「……」
川の水面を睨みつけるように見つめる。
ひょい。
静かすぎる川が何だか俺の心を無性に淋しくさせるので、水面に向かって石を投げてみる。
――ぽちゃん。
静かだった水面に、一つの音が生まれた。
そのあとも、結局山崎が来ることはなく、
「ん……俺、そろそろ帰るわ。……赤井は?」
野田は俺のことをちらっと見て、こう聞いてきた。
「あー……俺は、もうちょい居るけど」
少し考え、こう返す。
「ん……そっか。……じゃな、赤井」
野田が、俺の肩にポン、と手を置く。
「……おう。じゃーな」
今になって後悔する。
何で俺はカッコつけて河原に残ってしまったのだろう?
――ここのことをまだよく知らなかったが故の過ちだったんだ。きっと。