19話:一件落着。
「んー、山崎の無事を祈って、かんぱ――い!!!」
夜9時を回った頃。
俺たちは、河原で、安酒をあおっていた。
「いぇーい♪」
……俺のテンションもどこか変になっている。てか、これがテレビだったら【※未成年者の飲酒、喫煙は法律で禁止されています。】とか言うテロップが出る場面だろう。
「乾杯!」
酒なんて初めて飲む。両親だってそんなに行ける口ではないし、飲めない家系らしいし。
ぐびー、っと一杯、ビールを飲む。足元がふわ、っと浮きあがった。……気がした。
「……あ、言い忘れてたけどお前のはノンアルコールだから。……飲めないって言ってたしな」
「ぶはっ!」
俺は、口に含んでいたビール……いや、ノンアルコール飲料を吹きだす。
「ふざけんなよっ! 何で俺だけ……」
「飲めないんだろ? んじゃー無理に飲ませても危ねーじゃん」
……むぅ。確かに。
でも、ノンアルコール飲料で酔っ払ってた俺って……。なんだか、急に恥ずかしくなってきた。
「チッ」
本物の酒飲みたかったなー。
などと思っていると、
「おらよっと。そんなに飲みたいんなら、どーぞ?」
若干……いやかなり酒臭く、明らかに酔っている山崎が、俺に瓶を差し出してきた。
「それはなぁ、ういすきーだ!」
山崎に渡された瓶をじ、っと見つめる。
……ウイスキー?ああ、樽に入ってるあの高級な……って、
「ウイスキー!?」
俺は、目と耳を疑った。今、俺の目の前に、高級ウイスキーの瓶がある。
……当然だが、貧乏な中学生の俺は、そんなこと信じられない。というか、信じろ、という方が無茶だ。
だって、山崎はまだ中学生だぞ?
「ん、親父のパくって来たんだよォ。×××××の、×××××っつーウイスキーだ。××年ものだぜェ?……オラ、川の水で割ってこいよォ、赤井ィ」
×××××って……すげぇ。酒に詳しくない俺でも知ってる名前だ。
「っ……」
しばし、立ち尽くす。俺は、目の前の瓶に圧倒されていた。
……そんな時。
バタッ
……山崎が、倒れてしまった。