17話:緊迫に包まれる闇
俺たちがそこに着いたときには、事態はあまりよろしくなかった。
――山崎は、見るからにヤンキーみたいな奴に、囲まれていたのだ。
「っぁ……」
間抜け面で、その様子を見つめていると、
「何やってんだよ赤井!」
野田に頭を小突かれた。……頭がジンジンする。
「ってーな! ……んなこと分かってるっつーの!! ……あのさ、てめぇら、そこどいてくんない?」
俺は夢中になって、見るからヤンキーな奴らにこう言い放った。ちょっと怖かったが、不思議と言葉がすんなり出てきた。
「んぁ? なんだって?」
……ったく、これだから最近の若者は。
心の中でため息をつく。男もいろいろと面倒くさいもんなんだな。
「だーかーらー。……そこ、どけ」
喧嘩、と言っても半分くらいは勢いが大事だ、と俺は思っているので、思いっきり低い声で、奴らにそう言ってやった。そしてその勢いに乗って、奴らのことを睨みつける。
「ん? このクソ弱い山崎の仲間が来たか?」
クス、とバカにするような笑いが聞こえた。
「……うぜぇ」
俺はこぶしを握りしめた。
「山崎を弱いって言うなんて、てめぇすげーなぁ?」
横で野田が、ふふん、と笑う。なぜか勝ち誇ったような笑み。
……?
俺は、首をかしげた。
「あのさぁてめーら……山崎のこと弱いっつーのは、十年早いんだよっ!!」
そしていきなり――本当にいきなりだ――野田は、奴らに殴りかかったのだ。
「!?」
あまりに突然のことに顔をしかめる奴らを見て、俺は心の中でほくそえんだ。
……よっしゃ、チャンスじゃん。
「うぉりゃ――っ!」
俺も勢いに任せ、奴らに飛びかかる。