10話:謎の人。
更新遅くてすみません><
「俺が転校してきたから、あんなに人が?…嘘だろ!?」
「うん。嘘に決まってるじゃん」
笑顔で即答された。
…だよな。そうだよな。…ちょっとビビったわぁ。
「てか嘘はやめようよ。心臓に悪いから」
俺は再びため息をついた。
「はいはい。本当のことを言うと、昨日が特別だった理由は…」
野田の顔が、キリッ、と一気に真面目になる。
「理由は?」
「んー、実際のところ俺もよく分かんないんだけど、多分あいつが来てなかったのが関係あるだろーな
ー。いじめられっ子には優しいらしいけど」
野田がちょっぴり顔をしかめる。
「あいつ…って?」
「えーっとな…知りたいか??」
「…うん」
俺は大きくうなずいた。その時初めて俺と野田の身長差に気付いた。…いや、これはきっと野田がでかいだけだよな。うん。
「この学年には…なんつーか、ちょっとみんなから怖がられてる…っつーか遠ざけられてる奴がいるんだ」
「…へぇ」
「んで、そいつはすごく凶暴で危ない奴で…」
野田がすごく嫌そうな表情をする。
「?」
どうかしたのだろうか。
「あ…そいつが来た」
野田は絞り出すように、一言つぶやいた。
少し眉をひそめて教室の入り口を見つめる。
…と、そこに現れたのは――、
俺より若干大きいくらいの体格の男子だった。
…まさか、こいつが学校で怖がられてる奴なのか?
ちょっと悪いけど信じることができねぇや。
「おはよー…あれ? 君、昨日の転校生?」
彼は俺の前で足をとめた。
「…ああ、そうだけど」
まじでこいつのどこに怖がられる要素があるのだろうか、などと思っていると、
「あーえーっと…君の名前は?」
そいつがにっこり笑ってこう聞いてきた。なんか殺気を感じる…。
「俺は赤井健翔。お前は?」
「ん? 俺は龍野秀人…赤井君? だっけ、よろしくね」
龍野秀人…画数多い気がする。気のせいか?
龍野は笑顔で俺に握手を求めてきた。
「どうも。こちらこそよろしく」
俺と龍野は笑顔(?)で握手を交わした。
その時、何か違和感を感じた。
さっきより強い殺気。…別にダジャレとかそういうのじゃなくて。彼の眼が、とっても怖かった。
うーん、何て例えればいいんだろう…そう。
龍野の目は、何かを見透かそうとしているようだった。
そして転校してから二日目にして、泣きたい気分になる出来事が起ころうとしていた――。