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【闇堕ち直前】主人公の色なし観察日誌1  作者: 荒屋朔市
謎解き

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43/50

『迷宮探偵ヒラメキ』が脱出系ミステリーに挑みます(14)

ファンタジー要素を消して、どうする?

郵便ポストを探して、どこへ行く?



 迷宮探索は折り返しだ。そう自分に言い聞かせた途端、胸の奥の期待が急速に冷めていった。


 その時、文机の燭台に目が止まった。蝋燭代わりに発光キノコを刺して使われている不人気な骨董品だ。汚れを指で拭うと、壁の刻印に似た彫り込みが浮かび上がる。


 指先の感覚を頼りに文机を調べた。机の脇に突起がある。引き出しのようだが、引っ張っても開かない。鍵穴らしき溝を見つけ、燭台の細い部分を差し込む。カチッと音がして、突起を引く。軋む音とともに、中から布張りの冊子が現れた。


 貸出台帳だった。几帳面な文字が並んでいる。知った名もあり、最後のページには、こうあった。


「刻印の下、呼び鈴を鳴らすこと」


 文机にも埃の下に同じ彫り込みがあり、傍の小さな矢印が壁の刻印を指し示している。その間には、人を模った彫刻の置物。この周辺だけ埃が少ない。


 他は、円柱型の高い壁を朽ちかけた書架が埋め尽くしている。書簡の類は見当たらない。価値なきものだけが残され、土埃を被り、苔に侵食されている。おそらくは何十年も前から。


 仕掛けが隠されてはいないかと、彫刻を動かそうとしたが、びくともしない。顔や手も、可動する箇所は見つけられなかった。


 人に近いようで、首から上はない。背中には、もう一対の腕か鰭の名残りが不格好に突き出ていた。地上の生物を模したのだろうか。経年劣化か、破損か、それもわからない。


 少し探せば、矢印は部屋中に点在している。壁に彫り込まれていたり、インクで書かれていたり、様々だ。

 ただのイタズラかもしれない。通達書とハンカチがなければ、とっくに諦めていた。

 


 

 大きな溜め息を吐き、人物像の台座に腰を下ろす。砂礫が擦れる嫌な抵抗感と爆ぜる音。台座が石床へ僅かに沈み込む。ガチンッと噛み合うような音が鳴り、土埃が舞った。

 壁の刻印を見上げると、それを囲むように四角い輪郭線が浮かび、苔の一部が剥がれ落ちる。


 すぐ隣で、エシュが見ていた。


「隠し扉の前に、置物があったら邪魔だよね?」


 驚きと興奮の最中で、わけも分からず口走った。エシュは、扉の前から台座ごと押し退けようとするが、動かない。壊さない程度に加減したようだ。

 僕は台座の上で手がかりを探し、見慣れた彫り込みと矢印を見つけた。


「こう回すんだ」


 腕の動きで向きの指示を出す。エシュは無言のまま、もう一度、台座を掴む。摩擦音とともに台座が床の上で右回転する。首のない人物像の手元で、長く放置されてきた鈴がチリリと響いた。壁を背に立っていた像が隠し扉へ向けられる。

 火打ち石のような音が響き、重々しい石の扉が開いていく。


 真っすぐに伸びる通路が現れた。

 その遥か奥で、発光菌ランプが揺れている。

 

 

 

鈴を鳴らしたのは像。動かしたのはエシュ。僕は、欠けた像の重量を体重で補った。適切な連携プレイだ。



明日は、お休みして、明後日から連投再開します。


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1. 文字数稼ぎ、お疲れ様でした。

2. ファンタジーを読ませろ。

3. 満足。

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5. もっと謎を寄越せ。考察させろ。


※無回答の方は、「隠し扉前に彫刻は邪魔だ。退かせ」と、お考えの強硬派タイプとお察ししました。

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