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【闇堕ち直前】主人公の色なし観察日誌1  作者: 荒屋朔市
地底探索

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42/50

失敗を恐れぬ挑戦士は見る者に希望を与え、そして伝説へ(13-3)

禍根を残したくないので、不満は今ぶち撒けてほしい。



 僕は魚の干し肉を咥えながら、地図を広げた。キノコの残光を頼りに、残りの道順を記憶に留めておく。

 目的地までは、あと数区画だ。

 


 

 発光キノコが完全に光を失い、視界は悪化した。僕は平気だけど、後ろの奴はどうだろうか。何度か振り返ったが、ついて来ているから放っておこう。

 それよりも今は、目上の課題に向き合うべきだ。


 迷路は立体だけど、地図は平面。通路を示す線の太さが均一でないことも、気になっていた。

 その答えは、太い線が細い線へ変わる箇所にあった。行き止まりでも、急な坂道でもない。登るしかない。


 突起は少なく、苔で滑りやすい。小石を投げて反響音を確認し、意を決して振り返ると、エシュは既に腰を落として待っていた。


 その背後に回り、両肩に手を添えた。脚を伸ばすと、視界が持ち上がる。残っていた柵を掴み、腕と肩を足場にして、よじ登った。


 通路は広く、高さもある。湿り気が薄れ、光苔の色味も違う気がする。僕は通路脇によって、腰を落ち着けた。


 エシュが壁を駆け上がって来た。縁に手をかけ、身体を持ち上げる。粉塵を払う仕草も、どこか小慣れてきた。

 失敗は見なかったことにしておく。失敗を恐れず、挫けずに挑む。その姿勢は見習いたい。


「……登るためとは言え、踏みつけた件について、言いたいことがあれば、どうぞ」


 苔の光を見ていたエシュが、視線を寄越す。


「帰りが楽しみだ」


 無表情から繰り出された一言で、背筋が冷えた。

 


 

 少し進むと、縦長の空間に、崩れかけた書架の残骸。地図上の印が示す目的地だ。

 静まり返り、人影もない。周囲を見渡しながら、甘いキノコ茶の匂いを探した。


「無事に着いたみたいだね」


 視線の先で、エシュが頷く。壁の刻印は、通達書の印刷と、ハンカチの刺繍に酷似していた。


 会いたい人には会えなかったけど、失敗ではない。ここに手紙を残せば、読書会の主催者に届くはずだ。

 彼女なら、僕の疑問に答えてくれる。


 鞄から地図を取り出し、挟んでいた半分の葉と重し代わりの石を文机に置く。地図は鞄に戻した。

 迷宮探索は、ここで折り返しだ。

 

 

 

「帰りが楽しみだ」

その一言が、今でも忘れられない。



明日は、投稿お休みします。


読者アンケート ☆をタップして教えてください。

迷宮探索回をどう思いますか?

1. モンスターがいなきゃツマラン。

2. ギャグ多めでOK。

3. 現地食材を食べてこそダンジョン。

4. シリアス多めでOK。

5. 事件が足りない。バトル展開を希望。


※無回答の方は、移動シーン不要の強硬派。瞬間移動をマスターされた方々でございますね。流石です。

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