選ぶのが面倒なので代わりに優先順位を決めてください(間10)
過干渉は息苦しいけど、放任は不安になる。
寝床の脇に置いた荷物を鞄にしまって肩にかけ、乾いた外套を被って、僕は『神の古泉』を後にした。
その数歩後ろをエシュがついて来る。
エシュは何も言わない。それが、エシュなりの人付き合いなのだと、最近ようやく理解し始めた。
諦めたと言うべきだろうか。
僕の前に食べ物を置く理由も、食べ方も、一切説明しない。食べるかどうかは、僕の自由だ。
選択肢を提示するだけで、結果には干渉しない。
食べなかったことを知れば、翌日は違う種類のものが提供されたり、その場で食べ始めたりもする。
無言の再提案を繰り返し、積極的に世話を焼くのは、食事面のみ。自由意志に委ねて、放任している部分が大半だ。
僕の行動を咎めず、ただ視線を向ける。
「本当に、それでいいのか?」
そう問いかけられているような気持ちになる。だけど、そう見せているのは僕の迷いだ。
北門を抜けると、空気が変わる。光源が少ないために辺りは暗くなり、湿度は下がり、音も減る。
そこから始まる立体迷路は、まるで誰かが意図的に作ったように、自然の地形に紛れるように存在していた。
遊んでいた頃の記憶が鮮明に蘇る。誰もが知っていて、いつしか忘れていく場所。
ずっと以前の出来事だったように感じる。
横に並ぶでもなく、後ろに下がるでもなく、一定の距離を保ちながら、ついて来る。一人ずつ順番に通る他、どうすることもできない狭い道に差し掛かった。
そんな時も、僕が進むのに合わせて進み、僕が足を止めれば止まる。
僕が選ぶのをエシュは待っている。僕の迷いを聞き逃さず、決意までの過程に耳を澄ます。
それだけだ。今のところは。
このままでは、いつか言葉を忘れてしまいそうだ。
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※サブタイで遊…ゲフンッ、情報量を基準に区切ってますが、心を満たすのは文字数ですよね?
無回答の方、誠に有難うございます。1話分の情報量に関して、大変ご満足いただいているとのこと、恐悦至極です。




