『迷宮探偵ヒラメキ』が職務放棄!? 持ち主探しは面倒だから委託を考える(12-2)
その選択は、サハルの胃に負担をかけます。
あの結び目は、別の誰かの手によるものだ。
柔らかく艶やかなハンカチも、上層の女性が持つような品だった。
銀糸の刺繍、甘い香りと微かに鼻腔を突く刺激。結び目と同じ人物かもしれない。
敵意がなかったからこそ、エシュは接近を許したのだろう。外套も綺麗に結ばれていた。
だけど、ハンカチが残されている理由は不明だ。落とし物? 施し? 返礼? 約束の証?
ハンカチを見たエシュの反応は薄かった。僕が拾っても、気にしていない様子に見えていた。
持ち主が生きているなら、洗って返すべきだろう。
家紋でも刺繍されていれば探せる。偽る者が現れたとしても、エシュなら見抜くのは簡単だ。
だが、大男を連れて家々を回るのは気が滅入る。治安維持の人に任せたい。できれば、エシュごと。
それが叶えば、同族の犠牲は減る。引き換えに、エシュは首輪をつけられて、鎖に繋がれるだろう。
そうなった後も僕は、この場所に残り、我が物として占領するのだろうか。まるで、盗人だ。
外套を絞り、干す場所を探す。苔の岩か、太い枝か。乾きやすさも考慮しなければ。
迷った末、僕はエシュに声をかけた。
「エシュ。これ、その辺に広げて、そっと掛けて。ゆっくり、優しく乗せる感じで」
振り返った琥珀色に、水面の模様が映る。返事はなく、静かに見つめ返す。
立ち上がり、外套を受け取って、枝へ丁寧に掛けた。
傷も入れ墨もない背中を見ながら、僕は自分の言葉選びを反芻し、静かに身悶えた。
気づいていないか、気にしていないのだろう。無頓着が歩いているような奴だ。
もっと感動的な場面を想像していたのに、考え事に夢中で、完全に意識の外だった。
やり直したい。
ご愁傷さまです。
孤独なロマンチスト、永遠に眠る。
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