古すぎて伝わらない告白ネタ。アナタ本当は何歳ですか?(間4)
あの子、質問が多くて、ちょっと疲れちゃうのよね。
真剣に話を聞いてくれているみたいだけど……。
誰かと話す時は、いつもどこか息苦しくて、緊張してしまう。
でも、「秘密の読書会」では誰かの話を遮ったり、否定したりしない。そんなマナーが自然に共有されていた。
主催者は本が大好きな女性で、お勧めの本を紹介してくれたし、どんな話も「面白い見解ね」と肯定的に受け止めてくれた。不思議に思ったことも、嫌な顔を見せずに教えてくれた。
ある日、僕が選んだ一冊は、地上の冒険譚だった。
「これ、朗読してもいいかしら?」
本の持ち主でもある主催者が、そう聞いてきた。僕は声が出せずに頷くだけだった。
彼女が読み始めると、ミシャも他の子たちも耳を傾けていた。時に固唾を飲み、時に胸を撫で下ろす。僕の中にだけあった感激が、伝染するみたいに広がっていく。
朗読の後、感想を求められた僕は、いつものように喉の奥で言葉をこねていた。
促されるまま話していいものか、こんなことでは笑われてしまうのではないか。考えるうちに時間ばかり過ぎていく。
主催者は静かに待っていたが、それを僕は恨めしくも感じていた。
「……あの台詞、本心とは違うような気がして。言葉の裏に、うまく言えないけど、もっと何か……」
話し終えないうちに声は萎んでいく。俯いた僕の耳に届いたのは、笑い声ではなかった。
「そうね。あの場面は、もっと別の気持ちが隠されていた。私も、そう感じたわ」
呼吸が、ほんの少し楽になったような感覚があった。
妹を連れて参加した日のことだ。
僕らが並んで座っているのを見た主催者は、微笑みながら声をかけてきた。
「貴方たち、双子ちゃん? そっくりね」
僕らは双子ではなかったけれど、白い髪に黒い肌と紅い目は、長命種族の特徴として最も一般的だ。背格好ばかりか、髪型や服装まで似ていたため、よく間違えられていた。
恥ずかしそうに顔を隠した妹にも、彼女は優しく微笑んで、他の参加者と同じようにキノコ茶と茶菓子を出してくれた。
妹は膝の上の茶菓子ばかり見ていて、本に触れることもなく、ミシャに話しかけられても戸惑うだけ。主催者は咎めもせず、お茶が冷めていないかだけを何度も気にしていた。
まるで、誰かの居場所の温度を保とうとしているみたいに。
それ以来、僕が一人で読書会に参加する度、必ず声をかけられるようになった。
「あら、片割れちゃんは元気かしら?」
最初は少し照れくさかったけれど、いつしか参加者の間で、「片割れちゃん」という変なアダ名は定着していった。
そのアダ名が、僕を大勢いる中の一人とは違う何かにしてくれたような気がした。
たくさん本を読んで、大人になったら言うんだ。
『僕と契約してサマンサになってよ』って。
著作権問題は良いのかって?
閲覧数が伸び悩んでいる現状において、お気遣いは無用ですよ。
明日も明後日も同じ時刻に投稿します。
月曜は、お休みします。
30話は、時間・場所・登場人物が変わり、11話の裏話(ヒロイン登場)です。
火曜〜金曜まで30〜33話を連日投稿します。




