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【闇堕ち直前】主人公の色なし観察日誌1  作者: 荒屋朔市
独白

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23/50

毒吐

寝る前、独りになってから考える。

穏やかに流れていた時間が、嘘のように歪んでいく。


 僕は生き延びた。

 あの日に終わるはずだった命が、今もこうして生きている。


 溺れかけた僕を引き上げたのは、エシュだ。

 情けを掛けられたのでもなければ、その後に何かを要求されることもなかった。

 飲水や食料の話題を振ると、エシュは僕に地底湖の水を勧め、果実を寄越してきた。水も果実も、勧められるがまま飲み込んだ。

 身投げを責めず、引き上げた理由も語らない。

 罰もなければ、赦しもない。虚しいばかりの日々が過ぎていく。


 それなら、なぜ助けた?

 なぜ、あの瞬間に手を伸ばした?

 挨拶代わりに視線を交わし、核心には触れず、食事を共にする。

 この時間に、何の意味がある?

 気まぐれなら、そろそろ毒を寄越して欲しい。


 無為に生かされていることが苦痛で仕方ないのに、僕はまだ呼吸を続けている。


 何も求められない苦しみ。

 生きる理由を見つけられず、役割も与えられないまま、ただ生かされ続ける。

 以前と何も変わらない。

 これが救いと言えるだろうか?



翌朝、何事も知らないような態度で差し出された果実を受け取り、僕は黙って食べた。



来週月曜日の連載投稿は、お休みします。

代わりに、24話は明日21時に投稿します。

来週月曜日は、1話完結の短編小説を投稿します。

24.5話として読める設計ですので、是非。

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