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【闇堕ち直前】主人公の色なし観察日誌1  作者: 荒屋朔市
主人公覚醒

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15/50

無断外泊から朝帰りするパーリーピーポーは、お嫌いですか?(6-4)

空気を変えたいと思っていたとこなんですよ。

イイ仕事しますね。



 岩壁に沿って進む重量感のある足音を聞きつけた。

 この場所へ辿り着けるのは、地底の複雑な通路に慣れた者か、予め存在を知っている者のみ。後者なら面倒臭そうだ。


 僕は反射的に身を隠せる場所を探した。

 まだ身体は重く、思い通りには動けない。近くの岩壁に窪みを見つけ、そこで身を縮めて、やり過ごすことにした。

 手早く荷物をまとめ、できる限り痕跡を消して、物音を立てないよう気を配りながら移動する。

 


 

 足音は進行方向を変えた。

 水辺の淵に立ち寄り、その場に腰を下ろした。それから少し間を開けて、のっそりと立ち上がるような気配。


 やがて足音は、僕が先ほどまで寝ていた岩盤の前に来て止まった。


 息を潜める僕の耳に、自身の鼓動の音が響く。


 短い静寂の後、再び音が聞こえた。大男が無造作に腰を下ろしたような音だ。


 緊張の糸が切れて、僕は静かに息を吐き出した。ここは、あの赤髪の男の寝場所か。

 


 

 どこからか漂う甘く清らかな香り。安全を確認するために、僕は窪みから顔を覗かせた。


 視界を埋め尽くすのは、幽かに発光する菌類に照らされ、花を咲かせる植物たちだ。その向こうでは、湖の水が仄かな光を揺らめかせ、静かな庭園を青白い光で満たしている。


 塒の主は寝転がって惰眠を貪るようだ。その間に、少しだけ散策してみようか。

 


 

 だけど、頭が重い。

 丸一日ほど寝た気はするのに、足りていないのか、逆に寝すぎたのか、怠さでフラフラする。不健康極まりない肌の色は、視界に入るだけでも目がチカチカして、目眩を引き起こしそうだ。


 岩壁の窪みで、じっと踞っていたい。でも、寝心地は期待できない。しんみりと物思いへ浸るには、少しばかり眩し過ぎる。


 瞼を閉ざしても、瞼越しに青白い光がチラつく。正体不明の匂いが鼻腔をくすぐってくる。

 


 

 結局、不安に押された僕は耐えかねて、ゆっくりと立ち上がった。


 ブーツは既に乾いている。ひんやりと冷たいが、履いて移動するのに問題はない。靴裏には、見覚えのない青い粘液がこびりついていた。

 まだ新しそうだが、どこで踏んだのだろうか?


 そういえば、あの赤髪が枝に引っ掛けてくれたのなら、礼を述べるべきだろうか。恩を受けたら返す。これも、僕を縛りつけ、苦しめてきた一般常識だ。


 出会ってから、これまでに見せられた奇行の数々が、一気に浮び上がる。どんな表情を作り、何を言えば良いのか、わからなかった。


 考えるだけで気が重い。それなら、今は楽しいこと探しに集中しよう。


 向こうから接触してきたら、その時に考えればいい。

 対応に失敗したとしても、怒りたい奴は何をどう返しても怒る。笑いたい奴は勝手に笑うのだから、好きにさせておけばいい。

 

 

 

靴紐を解くなんてことが『奴』に出来ると、お思いですか?

デストロイヤーですよ?

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