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【闇堕ち直前】主人公の色なし観察日誌1  作者: 荒屋朔市
主人公覚醒

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14/50

気を取り直して、ご唱和ください。ボーイズ・ビー・アンビシャス!(6-3)

なんだか湿っぽくなってきました。

皆様、傘のご用意はヨロシイですか?



 僕は、ハッとして鞄の中へ指を滑らせた。手に馴染んだサイズ感と布張りの物を取り出す。


 どこへ行くにも持ち歩いていた手帳。古紙の束を綴じただけの簡素な作りだが、この世界に二つとない日記帳だ。


 日々の出来事を書き記す他に、苔やキノコの成長観察記録、調べ物や細かい計算をする時にはメモ帳としても活躍し続けてきた。 誰にも言えない秘密や愚痴を吐き出すための捌け口だ。


 それが今、古紙の束はすべてクタクタにヨレ曲がっている。文字は滲んで読めないほどだ。更には、うっすらとではあるものの、白く柔らかいカビに侵されていた。


 胸が痛む、というよりも、じんわりと削られていくような感覚。


 書き残してきた記憶が、僕の真実が、僕を支えてくれた約束が、湿気にほぐされ、輪郭を失い始めている。


 手帳は、まだここに存在する。色や形状が少し変わっただけだ。そして、これからも変容を続けていく。腐敗を周囲に撒き散らしながら。


 永遠なんて存在しない。そんなことは理解している。いつだって忘れかけた頃に、こうして目前に現れ、心をなぶる。


 まだ夢を見ているような気分だ。

 全部、夢なら良かったのに……。 

 

 

 

ハイ! ここで一端切ります。

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